豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. NYから現地レポート1
Page2324

NYから現地レポート1

2017年6月5日

雇用統計の結果は新規雇用者の数が鈍化したことにより失望を生んだ。

ドル安(円高)圧力が依然強いことが、雇用統計後の動きでも改めて確認された。

金は1280ドルの大台に乗せている。

先読みする市場の話題も「9月利上げ」にシフトしているが、(織り込まれた)6月利上げに続き、9月利上げを見込む予測は少数派である。CMEの利上げ確率を見ても6月、9月連続利上げ確率となると未だ3割に満たない。

FRBは金融正常化に動いているが、基本的に「緩和」から「引き締め」に移行したとの実感は薄い。利上げしたとは言え、歴史的低金利水準は続き、FRBバランスシート縮小も市場へのショックを最小限に抑えるため極めて慎重なペースとなる。総じて「緩和的スタンス」が変わらないことは「過剰流動性相場」が実質的に継続することを意味する。量的緩和政策の影響が未だに色濃く残り、有り余る流動性を超低金利市場環境の中で持て余すヘッジファンドの姿が印象的だ。常に何か新たな買いの切り口を模索している。

北朝鮮情勢は「脅威」として認識されているが切迫感は依然薄い。ICBMミサイル実験と言っても、実際に米国を攻撃できる水準まで達するのは未だ先の話と市場では考えられているからだ。

頻発する英国テロに関しては、もしNYで連続して起こったら、かなりのショックをマーケットにも与えることになろう。

トランプ政権に関しては、今週予定されているコミー前FBI長官の証言が圧倒的な注目を集めている。

総じて、安全資産としての金へのマネー流入を刺激するような地政学的要因には事欠かないので下値も支えられている。

先物主導の上げというところに、売られ始めるとかなり激しくなる可能性を感じるが、目先はトレンドフォロー(上げの流れに乗る)のファンドが勢いを得ている。

総じて、中国・インドの現物買いはすっかり引っ込んでいるゆえ「値頃感」より「割高感」が指摘されていることが印象的だ。

さて、NYの気候は暑すぎず寒すぎず快適だね。

明日(現地月曜)から本格的に仕事。

まずは訪米中のジム・ロジャーズ氏との対談。

それから、3日付け日経朝刊M&I(マネー&インベスト面)に「世界市場の急変に備える 外国人の視点で、王道は分散」という見出しの大ぶりの記事あり。そこでもろもろコメントしていますから読んでみて。

食の方は仕事優先なので、まぁウルフギャングで赤身のステーキ500グラムくらいを食べるくらいかな(笑)。 日本から例によって自家製お稲荷さんを20個ほど持参した!近所のコンビニで大福を仕入れるのを忘れたので、羽田空港のデューティーフリーで慌てて「お土産」用に包装された「人形焼き」を自己消費用に買い込んだ。早くも行きの機内でパクついた。ごぼう茶も持参して万全の態勢だよ(笑)。

2594a.jpg

ただ喋り過ぎで相変わらずアレルギー性の喉炎症がとれず声はガラガラ。現地テレビロケなので、とにかくマスクをして自衛しているよ。

行きの機内は恒例で、テレビ人気連続ドラマ全編を通しで見る。これまでも半沢直樹とか下町ロケットとか、全てNY行きの機内で全編を見ている(日本では見ない)。

今回は白い巨塔だった。全編を見て丁度10時間くらいかな。あとの3時間は機内WIFIをいじってネットを見て過ごした。

JFK空港の入国審査が機械化され、画面見ながら操作して、最後に病院の会計機みたいにもろもろ記入されたペーパーが出て、それを係員に渡すだけでOK。ただ機械操作できないと延々並ばねばならない。でも日本語の画面も出るようになっているよ。指紋認証とか写真撮影とかESTAとか、全部モニター画面上で確認される。以前どおりの入国審査ゲートもあるけれどね。皆どっちに並べば良いのか戸惑っている段階だな。ESTAを複数回使っている人には機械化ゲートがお奨め。よく分からない人は従来型ゲートのほうが安心。総じて日本人には入国審査も時間をかけない。

サウジアラビアとカタール断交のニュースが飛び込んできた。ビックリ。カタールはイランとテロ支援しているとの理由。これまた想定外の地政学的要因。


2017年