豊島逸夫の手帖

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トランプ大統領情報漏えい疑惑発覚の衝撃

2017年5月16日

16日大引け後のNY市場に衝撃の情報が走り、大手金融機関のトレーディングルームも一時総立ちの光景が見られた。

ワシントンポスト、ニューヨークタイムズがトランプ大統領の情報漏えい疑惑を報道したのだ。先週ロシア外相訪問の際にIS関連高度機密情報を共有した。「私は凄い情報を持っている。毎日、情報の報告を受けている。」と「自慢した」という。特に情報を提供したと見られる同盟国が、当該IS関連情報を得たIS地域内の都市名にまで言及したとされる。この報道が本当ならば、同盟国の信頼を失うばかりではなく、ロシアがアサド政権と当該情報を共有すれば、情報ソースが危険にさらされる可能性がある。

しかも、トランプ政権とロシアの関係を捜査中のFBIトップを解任したばかりのタイミングだ。

トランプ政権側の反応だが、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は短い記者会見で「私はロシア外相との会談に同席していた。その報道は誤っている。」と断言した。ティラーソン国務長官も当該情報の「ソースや方法や軍事行動」については言及されなかったとの声明を出している。

しかし、市場は疑心暗鬼になっており、トランプ政権に対する懸念は払しょくされない。

今後の紛糾は必至ゆえ、市場が期待する経済政策に関する議論が更に滞ることになりそうだ。

金市場を巡る政治要因には相変わらず事欠かない情勢だ。この不安感が金の下落にブレーキをかけている。

2017年