豊島逸夫の手帖

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米朝交戦なら99円、水面下の円高論、有事の金は?

2017年11月22日

トランプ大統領が改めて北朝鮮を「テロ支援国家」と認定したが市場は反応薄だ。市場の不安を示すVIX指数も11月に入り一時は13台まで急上昇する局面もあったが昨日は急落。10の大台を割り込んでいる。

とは言え、米朝交戦リスクは市場関係者の大半が「あり得ない」とするが「完全否定」も出来かねる。板門店での北朝鮮亡命兵射撃事件などは偶発的戦闘リスクを想起させる。

欧州では水面下で万が一の場合に自国民を韓国から日本経由で脱出させる準備中との事例も指摘される。

市場の水面下でも米朝交戦リスクは「ライブ」である。

トランプ大統領の新たな経済制裁に対して、北朝鮮が新たな挑発行動に出るとの警戒感も根強い。具体的には金正日命日の12月17日と金正恩朝鮮人民軍最高司令官就任記念日の12月30日が新たなミサイル発射の「要注意日」として市場では意識されている。

欧米市場はクリスマス休暇前後の日程なので、現在日本株買い第二波に乗っているヘッジファンドの間でも、休暇中まで日本株ロング(買い持ち)ポジションをキャリーすることの不安感が払しょくできない。

外為市場では米朝交戦で円高か円安かの議論が飛び交ってきてきたが、結局「円高」説がヘッジファンドの間では「主流派」になりつつある。そもそも「パウエル新FRB体制でも低インフレ環境では利上げペースは緩やか」との見方により、市場の潮流がドル安・円高に振れている。北朝鮮リスクも殊更に円高を正当化する材料として挙げられやすい。ここまで円売りポジションを膨らませてきた通貨投機筋にとっても円買戻しの恰好の理由づけになる。想定されるプログラム売買による「有事の円買い」発動も、半年前よりはその規模が大きくなったと言えよう。何せ瞬時に突発的に生じるテール・リスクゆえ、ひとたび起これば考える余裕などはない。殆どの市場参加者は傍観する中で、一部のヘッジファンドが薄商いの中、円を買うという事態になればボラティリティーも当然高まる。105円程度の円高が予測としては無難な線だが全く前例なきことゆえ、99円という数字を絵空事として捨て切ることも出来ない。この不透明感強い市場環境こそ投機筋にとっては草刈り場となる。

但し、極端な円高が維持されるとの見方は極めて少ない。それゆえ「噂で買ってニュースで売る」との常套手段で、今のうちから円買いの「仕込み」に動く投機筋の事例もある。もし本当に99円になれば、即、利益確定の円売りに動く目論見が透ける。年内最後の投機マネー「急ぎ働き」に市場が揺れるシナリオに対する心の準備も怠れない状況である。

そして本当に米朝軍事衝突になれば金価格はどこまで(瞬間的に)買われるか。

今週発売の日経マネーに良き後輩亀井氏・池水氏と3人プロ対談が載っている。そこでの発言では、池水1400ドル、亀井1500ドル、豊島1600ドル!(但し、平時に関してはそんなに強気ではない~。)

ちなみに2018年プラチナ価格予測は、亀井1050ドル、豊島1350ドル(大丈夫か、そんなこと言っちゃって(笑)!!)、池水「低水準が続く。」(ドサクサに紛れて具体的レンジ出してないな~~)。

まぁ中身は読んでのお楽しみ~~。立ち読みじゃなくて、ちゃんと買ってあげてよ(笑)。いまマネー誌苦戦しているみたいだから~~。

ちなみに、私の同誌連載コラム「豊島逸夫の世界経済深層真理」はもう71回になるけど、今回は「日本株、米長期マネー、ウォーミングアップ」。こちらは株の話。

2017年