豊島逸夫の手帖

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「大緩和時代の終わり」なのに世界株高

2017年10月19日

ECB(欧州中央銀行)は量的緩和を来年9月、或いは12月まで段階的に縮小ながらも基本的に緩和継続の様相だ。ドイツ・オーストリアで反難民の極右政党が躍進。英国EU離脱は難航。確かに欧州経済は好転しているが、量的緩和縮小に耐え得るか。ドイツ連銀は基本的に量的緩和には消極的な姿勢だが、ECB内の議論は割れる。ドラギECB総裁も、量的緩和縮小に伴うユーロ高に中銀総裁としては異例の懸念を示している。

FRBは次期議長人事が気になるところだが、タカ派とされる候補者が指名されても利上げと資産圧縮の同時進行は緩やかなペースで進めるだろう。トランプ大統領も低金利人間を好むと明言している。結局、市場内には量的緩和で市中に供給された過剰流動性がマグマの如く沈殿している。実質的に緩和状況が未だ続くは必至だ。

そして我が日銀は質的量的緩和を断固継続中である。
中国人民銀行も緩和政策は不動産バブル再燃のリスクを伴うものの、共産党大会後にいきなり引き締めで経済を冷やすことは考えにくい。サプライサイド構造改革、即ち国営企業合理化、過剰設備・素材廃棄、金融再編、地方政府の巨大債務削減に取り組めば経済を萎縮させる。金融のカジ取りが極めて難しい局面だ。人民元も自由化に動いていたが、ここにきて毎日の人民元相場決定基準に新たな恣意的指標を導入して、実質的に人民元管理相場への逆行に舵を切っている。最終的には力で抑え込む目論みが透ける。

かくして世界的な過剰流動性相場は終わらない。

溢れたマネーは世界を回遊する。株・債券・ドル・不動産そして金。短期的価格変動を誘発しつつ、ストックとして蓄積されたマネーは資産価格を押し上げてゆく。

トランプ大統領が金融機関への規制緩和に動いていることも重要だ。FRB議長人事に関しても、規制緩和に賛成か否かが重要な判断基準となろう。規制緩和はバブルのリスクを伴うが、ドッドフランク法など厳しい金融改革法により制約を受けてきた金融機関のリスク選好は高まるだろう。リスク資産には追い風となる。


金は金利を生まないので、来年にかけ利上げの影響で下げ圧力がかかりやすい。しかし今回の利上げサイクルの最終着地点は2%台と見られ、歴史的には極めて低水準だ。徐々に利上げに対する耐性もついてこよう。

円建て金価格には為替相場の円安傾向の方が最終的には優ると見る。

そして今日の旨い物写真は、お馴染み京都祇園「らく山」。

秋鱧とマツタケのお吸い物もここのは別格だね。鱧スープにマツタケの香りが口の中でからまる。たまらん(笑)。

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大将自ら釣ってきた鮎と丹波栗の渋皮煮、銀杏は本場愛知産。秋だね~~。

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ツブ貝、エビ、イカなど海の幸と湯葉のらく山風前菜も良かった。

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2017年