豊島逸夫の手帖

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有事の金相場終焉

2017年9月12日


先週、一時は1360ドル台まで急騰した金価格が、先週金曜から一転下げに転じ、昨日は1330ドル台を割り込んだ。
今朝7時に北朝鮮追加経済制裁修正案が国連で採択された後も、金価格はズルズル1325ドルまで続落中だ。
北朝鮮核実験直後に急上昇して1330ドル台を突破したので、その時点での水準に戻ったことになる。
北朝鮮ミサイル日本上空通過直後には1310ドルをつけていたので、金価格の北朝鮮有事プレミアムは未だ20ドル程度残っている。
これは国連採択に反発して北朝鮮がミサイル発射の威嚇行動に及ぶ可能性を映す。
総じて、金市場最前線の感覚は、市場にサプライズとなる北朝鮮関連材料は軍事介入しか残っていない。しかし、そのシナリオは北朝鮮にとっても破壊的シナリオゆえ非現実的だ。それゆえ、有事の金相場はとりあえず幕引きと見ているわけだ。
市場の関心は、より現実的且つ持続的影響がある米金融政策にシフトした。利上げ観測後退が1300ドルの大台を支える要因となっている。


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金価格72時間グラフ。
緑線の最後に1325ドルまで下がっているところが、今朝の国連経済制裁採択後、日本時間朝10時時点。

2017年