豊島逸夫の手帖

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貴金属の話題二つ

2017年9月29日


まず、カリスマヘッジファンドのポールソン&カンパニーが「金鉱山会社CEOたちの報酬が高過ぎる。」と「怒れる物言う株主」として発言したこと。ポールソンといえば、金を一時は100トン以上も保有したことで話題になったヘッジファンド。結局、今年の金高騰を待ちきれず1100ドル台という安値圏で売り払ってしまった。最近はやることなすこと裏目に出て、カリスマ性も薄れてきた。その鬱憤かどうかはわからないが、金鉱山会社にクレームつけているわけ。たしかに金鉱山の株価を見ると、金価格が上がったときでもそれほど上がらないという事例が多い。結局、CEOが子会社などで余計なことをするから。私は日ごろから、金鉱株投資は「株式投資」であって「金投資」ではないと言ってきた。CEOのマネジメントスキルが株価に大きく影響するからだ。
この話のオチは、なんとShareholders Gold Council(株主ゴールドカウンシル)なる組織を創設しようという話になっていること。ワールドゴールドカウンシルになぞらえたのだろうけど(笑)。


次に、遂にパラジウムがプラチナ価格を上回ったこと。思い起こせば、2011年に日経BP社から発行した私のムック本のなかで、当時のGFMS社CEOのポール・ウォーカー氏が「4~5年後にはプラチナとパラジウムが等価になる。」と予言したものだ。脱帽!
要は、パラジウムは供給不足、プラチナは供給過多ということなのだけど、それにしても、値差が逆転するというのは所謂misprice現象、つまり価格の歪みだね。投機マネーにより引き起こされた異常現象。それゆえ早晩解消されよう。プラチナとパラジウムのテクニカルグラフを添付したけれど違いは明らか。パラジウムは緑色の200日移動平均線を安定的に上回って推移している。対して、プラチナは荒っぽく200日移動平均線を下にブレークしている。しばらくはこの状況が続くかもしれないが、早晩200日移動平均線に回帰してゆくよ。


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2017年