豊島逸夫の手帖

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スーパー・サーズデーを終えての所感

2017年6月9日


ECB理事会、コミー前FBI長官議会証言、英国総選挙が重なった木曜日。スーパー・チューズデーをもじってスーパー・サーズデーと言われた。

昨晩から今日にかけて、NYで議論してきたファンドマネージャーたちとSNSを通じてリアルタイムでフォローしたので、そのまとめである。仲間内の率直なやりとりなどである。


時系列で追うと、まずECB理事会。
「もう利上げなんて言わない。でも経済が悪化すれば量的緩和増量はありうる。」とのドラギECB総裁からのメッセージ。


次にコミー前FBI長官議会証言の発言要旨を分かりやすくまとめると「トランプ大統領が人払いして、良い仕事をしている貴方にFBIは引き続き任せる。諸々よろしく。私の気持ちは分かってるね、と肩を叩かれた。違和感を覚え会話記録メモを書き残すことにした。その後、唐突に私の仕事ぶりが良くないからクビ、との発言を報道を通じて知った。」
結局、密室で言った言わないの水掛け論。市場は付き合っていられないとの反応だ。


そして英国総選挙。
メイ首相は「解散」という余計なことをしたと悔いているのではないか。与党が議席を減らす可能性が強まる。議席を増やして、強固な支持基盤でEU離脱交渉に臨む目論みは外れたようだ。
EUと離婚してもお友達でいたい、との選挙民の本音が透ける。
市場の反応を見ても、保守党議席数減が決定的になった後、メイ首相がそれでも「辞任はしない。」と語るや、ポンドが更に急落したのだ。単一市場アクセスも絶つハードブレクジットを唱えるメイ首相が職に留まることに、不安を感じていることが図らずも浮き彫りになった一幕であった。
昨年の国民投票で離脱に投票したが早まったと悔いている人たちが多かったことを感じさせる。残留派が盛り返したが時既に遅し。


総じて市場は冷ややかに受け止めている。影響は軽微だ。
但し、今後こじれる可能性を残した。


金価格はスーパー・サーズデー前にはしゃぎすぎて1270ドル台まで急落。
やはり1300ドル近くまで急騰局面は過熱だったね。
ただ、基調は強いと思うよ。下げも限定的。


地政学的リスクは相変わらず日々勃発している。
気になるのはイランのテロ事件について、イラン革命軍がサウジの陰謀だと非難し始めたこと。カタールを村八分にしている件についても、カタール側にトルコがついて、トランプ大統領は最初サウジなど湾岸4か国サイドに立ったが、その後「調停役」を買って出ている。カタールには米軍基地があるからね。
と言うわけで、中東諸国の内部分裂が気になります。
勿論北朝鮮ミサイル発射、英国テロも。


そして今日の写真は、私のNYでのライ麦サンド体験に触発された、洗足池マガーリの美人マダムが手作りした品。さすがセンスが良い。旨そうだね~。店のメニューに加えたら(笑)。


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2017年