豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. G7タオルミーナ、内部亀裂鮮明、歴史の転換点のような
Page2319

G7タオルミーナ、内部亀裂鮮明、歴史の転換点のような

2017年5月29日

「欧州は、もはや米国に頼ることはできない。我々の運命は我々が決める。」、これG7後のメルケル首相発言。G7は先進国間の溝(保護主義、地球温暖化問題への対応の差)を鮮明に浮き彫りにした。ほくそ笑むのはロシアと中国だろう。世界外交で力の分散傾向が顕著だ。その象徴的出来事としてG7タオルミーナ・サミットは後世の歴史に残るかもしれない。

トランプ大統領も次々に暴かれるロシアゲート疑惑に関して、徹底防戦と言うか、逆に反撃態勢をとっている。いったん実質的に政権から外したはずのバノン上級顧問を、ロシアゲート担当ということで「復職」させた。G7でアメリカファーストを貫いたのも国内向けジェスチャーと言える。

そして今朝は、北朝鮮、弾道ミサイル、日本の排他的経済水域(EEZ)に着水。

外為市場では北朝鮮ミサイルが日本本土に着弾した場合、円高に振れるか円安に振れるかの議論が活発化していた。

今朝の事件はEEZ内ではあるが、この議論に関して極めて興味深い事例となろう。

大きな価格変動がなくとも方向性がヒントとなろう。

NYのヘッジファンドたちには、日本本土着弾で99円との見方が根強い。円=安全通貨がアルゴリズムにインプットされている。特に超短期売買に特化するCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)が円高派の典型だ。

一方、同じヘッジファンドでも中期的世界政治経済の潮流をもとに売買するグローバルマクロ系には円安派が多い。ミサイルの標的になっている国の通貨は売られる、というオーソドックスな考えだ。但し、彼らは直ぐには動かない。まずは様子を見る。

総じて初期反応としては円が買われるが、その後徐々に円安圧力が強まる可能性が考えられよう。

なお、北朝鮮問題が米国では地球の裏側での出来事ゆえ、国民の関心も日本とかなり温度差があることを指摘したが、フィナンシャル・タイムズ紙の名物コラムニスト、ジリアン・テット女史が日本を訪問した感想として「米国一般国民の殆どは北朝鮮問題について知らない」と書いている。やはりね、という感じ。

それから、今週号の日経ヴェリタス「豊島逸夫の逸'sOK!」に「ビットコインバブルの行方」と題して書いた。

ビットコイン相場が今年に入り1000ドル台定着。今月に入って、1500ドル、2000ドル、2500ドルと暴騰後、2000ドルまで急落。震源地は日本。ミセスワタナベがFX感覚でビットコイン売買を始めた。金との比較についても書いた。ビットコイン価格が金の史上最高値を超えた、などという報道は全く意味がない。金は1トロイオンス31.1035グラム単位で決まるが、そこにビットコインとの共通性は皆無だ。詳しくはヴェリタス読んで(笑)。

そして、写真は未だ雪が残る磐梯山や天元台の雄大な景色の中、ボナリ高原ゴルフクラブにて。この季節この地域では、たらの芽、こしあぶら、わらびなどの山菜の天ぷらが実に旨い。日本人に生まれて良かった~~と思えるひとときだね~~(笑)。

2589a.jpg
2589b.jpg

2017年