豊島逸夫の手帖

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ミセスワタナベを誘うビットコイン先物

2017年12月12日

たまたま昨日投資セミナーで講演の機会があった。主題は2018年の見通しだったのだが、質疑応答ではビットコイン先物に質問が集中した。最近の通貨市場では膠着状態が多いので、仮想通貨先物は新鮮な投資対象に映るのだ。参加者の多くはFX投資家、いわゆるミセスワタナベだ。属性はまさに老若男女。おばあちゃんと孫ペアというリピーターもいる。山ガール(後期高齢者)3人のグループも常連だ。

質問にはサーキットブレーカー、先物プレミアムなどの専門用語が流れるように出てくる。当方も思わず大手町での機関投資家向けセミナーモードに入ってしまう。

CBOE(シカゴ・オプション取引所)のビットコイン先物のレバレッジは2倍超程度と話すと物足りない表情を見せる。FXで10倍、20倍に慣れきっているからだ。

そして昨晩。NY市場オープニングではビットコイン先物に対する日本市場の反応が話題に。今や、世界のビットコイン主戦場が日本ということを痛感する。

上場初日は限られた投資家の低レバレッジでの「お試し売買」だったので、取引量が極めて限定的な中での価格上昇となった。「試験管」のなかでの実験的売買のようなもので、まずは参加者同志お手並み拝見というところか。

それでもヘッジファンドはビットコイン先物売買に関して臨戦態勢だ。

特に先物価格とスポット価格の値差がかなりのプレミアムになっていることに注目している。ビットコイン市場の整備が進めば、この異常なプレミアムは徐々に平準化されるはずだ。その過程はヘッジファンドにとって裁定取引の絶好の機会となる。

このプレミアムは解消されないとの見方もある。ヘッジファンドが参入すれば空売りも増えると言われるが、ビットコイン先物に限ってはまず買い先行の姿勢が感じられるからだ。急速に先物買いのストックが積み上がった時点で一部売り手仕舞いが出始める。そこから空売りの仕掛けも増えてゆくとの見立てだ。

いずれにせよ「本戦」は最大手CMEにビットコイン先物が上場される12月18日からだ。

株・債券・外為・商品、どのセクターでも現物市場から先物市場が派生して短期的価格変動は先物主導となった。ビットコインも例外ではなかろう。市場の整備が進めば許容レバレッジも徐々に上がってゆく。そこでいよいよ市場攪乱的なバブルの芽がジワリと頭をもたげることになろう。

一方、金市場はビットコインに圧倒され静かだ。とは言え、これはあくまで短期売買の世界の話。長期では昨日のツイッター調査でも明らかなように「金」が過半数の支持を得る。

2017年