豊島逸夫の手帖

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10月波乱、レームダック化するイエレン議長

2017年10月2日

トランプ大統領が2~3週間内に次期FRB議長を決めると、その後イエレン現議長は徐々にレームダック化してゆく可能性が強い。まだ再任の選択肢も排除できないが、市場ではその確率は非常に低いと見られている。そうなるとイエレン議長が決定権を持つのは実質的に12月FOMCまで。イエレン議長在任中「最後の利上げ」となるかもしれない。今月中にはFRB資産圧縮プログラムも始まり、イエレン議長は後世の教科書に「金融正常化の道筋をつけた議長」として名を残すことになりそうだ。

2018年のFOMCは監督以下大幅入れ替えの野球チームの如き様相となり、オーナー格のトランプ大統領の色に染まるだろう。その色がタカ色かハト色か予見不可能だ。現時点での2018年以降の利上げ回数なども一旦白紙に戻し見直す必要がある。12月FOMC時に発表されるドット・チャート、即ちFOMC参加者による金利予測分布も殆ど意味を持たない。2018年3月に発表されるドット・チャートまで待たねばならないだろう。

資産圧縮プログラムも俄かに不安定要因が増えた。前回9月FOMCで確認された資産圧縮ペースは新FRB体制でも維持されるのか。毎月の資産削減量が変更されれば債券市場は疑心暗鬼となろう。更に資産圧縮の落としどころ、即ちFRB最適資産規模が現時点では明示されていない。どこまで続けるのか。これも不安定要因だ。

米金融緩和の歴史的転換点となる10月に次期FRB議長が決まるというタイミングも様々な憶測を生みがちだ。10月市場波乱を予感させる。

なお、金融政策に加え、財政政策、特にトランプ減税の行方からも目が離せない。法人税20%への減税であれば公約の15%には届かないが、株式市場は満額回答ではなくとも歓迎するだろう。その場合にはドル高・円安に振れやすい。とは言え、この減税案についてはまだまだ二転三転、紆余曲折はありそうで市場も振り回される覚悟が必要だ。

そして日本サイドでは衆議院議員選挙結果が円相場にも大きな影響を与えるとの見方がある。しかし、NYのヘッジファンドや年金基金運用担当者たちも日本株への影響は注視するものの、ドル円相場についてはドル側の上記要因の方が遥かに強いと見ている。

金価格の方は1270ドル台まで下がったところで想定していた1250ドル台に接近。年末までに1250ドルと予想していたが下げが速い。


さて、週末はFP協会研修会@仙台で講演してきた。

時間の制約で牛タン定食を食べそこなったのが不覚(笑)。

今年は仙台でのセミナーが多い。

やはり震災での巨額の補償マネーが地方銀行普通預金に積み上がっていて、資産運用の機会をうかがっていることを実感する。いきなり1千万円単位の補償金が入金され、どうしたらよいものか。マネーのことなど考えたこともなかったのでオロオロしている感じだ。まずは初歩的な知識から。いきなりお風呂に入るのではなく、かけ湯してから(無理のない金額から)とにかく始めよ。ここはまずリスクをとることを体験することが大事と説いている。決して急ぐな。慌てて切羽詰って決断するとロクなことはないものだ。

2017年