豊島逸夫の手帖

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ドラギ発言、イールドカーブ正常化の兆しか

2017年6月28日

今日はちょっと難しい話だよ。初心者の人たちは、すっとばして旨いもん写真へどうぞ(笑)。

「不景気の不気味な前兆」とされるイールドカーブ平坦化現象が市場の話題になっている。

普通、カネを貸すのに短期より長期の方が金利は高いのが当たり前。ところが最近は長短金利が接近しているのだ。市場では米国10年債と2年債の利回り格差で示される。

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しかし、昨日はドラギECB総裁の来年にも量的緩和縮小する可能性を示唆する発言により、イールドカーブが若干ながらも立ってきた。欧州国債が軒並み買われ、更に米国債買いまで誘発したからだ。米国10年債利回りは2.15%台から2.20%台まで上昇している。これは示唆的だ。

そもそも、長短金利縮小現象はFRBが利上げにより短期金利を引き上げても、マーケットが長期金利を押し下げるために生じた。後者については、FRBが利上げしてもECBと日銀が量的緩和を続けている結果、余剰マネーが少しでも高い利回りを求めて米国債に流入していることが一因とされた。そこにECBも量的緩和縮小となれば、いよいよドル長期金利にも上昇圧力がかかり、イールドカーブも徐々に立ってゆくことが想定できる。次はいよいよ日銀も出口模索かとの声は欧米市場でも頻繁に聞かれる。

その他にも利回り曲線平坦化の理由として、中国が米国債購入を増やしていることも指摘される。この件については、本欄6月16日付け「米国債保有減らすFRB、増やす中国」を参照されたい。

更に、インフレ期待が上がらないことが長期金利低迷の主因ともいわれる。

ここでは市場間で見解の違いが鮮明だ。

債券市場は悲観論で育ち、株式市場は楽観論で育つ。

債券市場は経済の長期低迷論を重視して、イールドカーブ平坦化の長期化を視野に入れる傾向がある。対して、株式市場では好調な企業業績に注目して、いずれイールドカーブは立ってゆくとの見解が目立つ。昨日はオバマケア代替案の議会採決が、米独立記念日(7月4日)休暇以降に持ち越されたことで、市場が期待する大型減税など財政政策は益々後回しになった。しかし、株式市場にはトランプ政権の政策期待が根強く残る。満額回答には至らずとも、いずれ財政出動がドル長期金利を押し上げると見ている訳だ。

イールドカーブが立ってくればドル高円安要因となり、日本株上昇要因ともなるので気になるところだ。

果たして債券市場が正しいのか、株式市場が正しいのか。

答えは夏休み明けになりそうな様相だ。

イールドカーブが立ってくるとインフレ期待が強まるので、金価格には上昇要因となる。

今日の写真は、パリッとグリルした魚とブロッコリのムースと「いけま」という山菜と、白い粉はなんと粉末状のオリーブオイル!

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そしてグリーンアスパラとそのムース。

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ペンネと緑菜のコントラストも鮮やか。

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札幌イタリアンは食材にも恵まれレベルが高いね。

2017年