豊島逸夫の手帖

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トランプ演説待ちの市場

2017年2月27日

28日にトランプ大統領が初の演説をするので、マーケットには思惑、期待、不安が渦巻いている。
なにせ、鳴り物入り。トランプ大統領は「2~3週後に驚異的な財政改革を発表する。」と発表。市場は、期限を区切って、しかも「驚異的」(phenomenal)という激しい単語を使ったので、すっかり、その気になっている。果たして、株式市場が織り込んだ「驚異的な税制改革」に対して、トランプ大統領は「満額回答」する、あるいは、できるのか。ムニューチン財務長官は、既に、財政政策を議会に通すのは8月と明言している。大統領が2~3週間後、財務長官が8月ごろ。そもそも、税制改革は、トランプ大統領得意の「大統領令」では決められない。議会の承認が必要だ。ところが、共和党内でさえ、国境税はじめ賛否両論が渦巻いている。党内コンセンサスを醸成するだけでも時間がかかる。


トランプ大統領の戦略は、まず、やりやすいところ、つまり、個人減税を打ち出すかもしれない。これはこれで、株の買い材料にはなろう。しかし、税制改革の全体像を見なければ、マーケットとしても、本当の判断は出来かねる。


今後の展開だが、もし、市場が失望となれば、マネーは米国債、円、そして金に流れるだろう。逆に、市場が歓迎すれば、株とドルが上がる。米国10年債利回りで見れば、失望で2%、歓迎で2.75%というところか。この金利水準で、ドルの立ち位置が決まり、株も反応する。そして、金価格に反映されよう。


なお、2月25日土曜日の日経朝刊マーケット総合面に「金買い、欧州選挙を意識、リスク回避、上昇長期化も」という大ぶりの記事が出ているので、参照されたい。私も冒頭でコメント。


それから、柔らか目のところでは、朝日新聞で星野真理さんと対談。前篇、後篇あり。


<前篇>


http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2017021491141.html


<後編>


http://www.asahi.com/and_M/articles/SDI2017021591511.html

2017年