豊島逸夫の手帖

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自民惨敗、欧米市場にも衝撃

2017年7月3日

「都議選の動向はどうか。」

先週、NYのヘッジファンドたちから投げかけられてきた質問に一瞬当惑した。彼らとの対話で都議選が話題になることなど、かつてなかったからだ。同時に日本株への本気度も感じていた。そもそも興味がなければ、そのような質問が出るはずもない。

そして自民惨敗。早速今後の日本の政局を聞いてくる。

特に米国の年金運用担当者たちは安倍政権の安定性に敏感だ。長期投資の立場では、日本株の大きなメリットが長期安定政権だからだ。その政権支持率が低下傾向となった段階では、それでも相対的に高い水準とされてきた。しかし、今回の選挙結果には衝撃を受けている様子がありありと見受けられる。

米国株割高懸念から国際分散運用傾向が強まり、その受け皿のひとつとして日本株も浮上していた。

先月NYに出張した際に「7月半ばにまた日本株勉強会に来てほしい。」と言われていたが、早々と延期の方向で見直し中との知らせが入った。「夏期休暇で骨休みしてください。」と丁重だが失望感も滲む。

一方、ヘッジファンドたちの話題は「円の安全通貨神話揺らぐか」。

日本は債権国であり政治的にも安定しているがゆえに、リスクオフには円買いが市場では定着してきた。その根幹が揺らいでいる。しかも解放された米国人学生死去の報で米国内では急速に北朝鮮への反感が強まっている。トランプ大統領も対北朝鮮政策を「アップデートする。」と述べ、市場でも切迫感が強まっている。「北朝鮮への軍事介入は韓国と日本に壊滅的影響を与える。」との懸念も語られている。

元来、欧米市場では米ドルも安全通貨とされてきたので、相対的に円の「安全度」が低下と見なされる可能性は無視できない。

おりからECB緩和縮小が取り沙汰され、その余波で米国長期金利も上がってきた。

皮肉なことだが、巡りめぐってドル高進行が日本株には買い材料となる可能性も秘める。

まずは安倍政権の対応策を欧米市場も注目している。

2017年