豊島逸夫の手帖

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英国EU離脱国民投票、二回目の可能性

2017年7月18日


英国で、やはりEU離脱しては経済的にやってゆけないから、もう一度国民投票で民意を確認してはどうか、との動きが浮上してきた。移民は制限するがEU自由貿易圏には留まりたい、という虫の良い話はやはり通用しない。英国民は現実の厳しさをヒシヒシと感じている。いま改めて民意を問えば、おそらくEU残留派のほうが増えているのではないか、との思いである。一方で民主主義のルールに則り多数決で決めたことをひっくり返すようなことは出来ないとの考えも根強い。
とは言え、敗者復活戦のごとき第二回国民投票の確率が高まっているのは事実だ。


次に、安倍政権支持率が30%前後の危険水域まで急落の件。米国ではワシントンポストとABCの世論調査で、トランプ政権支持率が36%と戦後最低水準まで下落しているが、それより激しい下落である。対してメルケル首相の支持率は6割前後。
しかし、日本の場合は国民の不満の受け皿となる野党も見当たらない。いざ選挙となれば無党派層の棄権が多いが、消去法で結局自民党が残る、と欧米市場では見ている。
EUはドイツが安定していても、そもそも主権が異なる国々の寄り合い所帯ゆえ、不安定感が残る。
そして、習近平国家主席は、5年に一度の共産党大会を秋に控え、側近を地方重要ポストに登用する一方、異分子は放逐して周りを着々と固めている。習氏後継候補で前重慶市トップを規律違反で拘束。アキレス腱はやはり巨大化した債務問題。ここにメスを入れれば経済成長率は鈍化する。結局、中国の経済成長は「借りたカネ」で賄われてきた。しかし、この債務膨張はどこかで臨界点を迎えるは必至。昨日発表された直近の中国経済成長率は6.9%と事前予測を上回ったが、とても楽観できる状況ではない。
やはり、年後半の波乱要因として中国から目が離せない。中国経済が本当にハードランディングしたら、金価格も巻き込まれて下がるだろう。リスクオフで安全資産として金が買われると言うが、経済危機に発展すると、当座はマージンコールで売られやすい。その後、反転となろう。


最後に今日の写真は好物の豆腐。本当に旨い豆腐は醤油など不要。そのまま食べておいしい。


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2017年