2017年11月2日
「金か株か」という質問をしばしば受けるが「金も株も」が正解だ。両方持って初めてリスク分散効果が出る。単に金だけ保有するのでは投機になってしまう。
さて、11月には多くのヘッジファンドが決算期を迎える。
今年のパフォーマンスが良くないファンドは焦燥感を強める。そこで、日本株買いの波に乗り劣勢挽回を目論む発想も見られる。
「日銀には逆らうな。Don't fight BOJ.」
今やヘッジファンドの間の合言葉である。
日本人投資家だけではなく、海外投資家も日銀依存度を高めているのだ。
現在の日銀が保有する日本株は20兆円を超える。しかし、この上げ局面では日銀買い出動が一回だけ。11月1日に709億円購入した。今年目標とする6兆円達成のために残された時間は少ない。
11月に日銀が未達分1兆円以上の買いに動くだろうか。
日銀買い期待で11月前半にヘッジファンドが日本株買い攻勢を強める可能性はひとつのシナリオとして意識すべきだろう。
同時にここまで日本株を買い上げてきたヘッジファンドは、決算前の利益確定売りのタイミングを模索している。
11月の株式市場のボラティリティー(価格変動)は増幅されそうだ。
一方、長期マネーの欧米年金基金などは、日銀量的質的緩和政策の枠組みのなかで、株ETF購入策の出口戦略に注目する。
長期保有の視点では、20兆円を超える日銀日本株保有残高の「出口」が気になるところだ。衆議院議員選挙与党圧勝で、黒田総裁続投により自らその道筋をつける成り行きに注目して、今後の動向をフォローしている。
従って、海外長期マネーの一部には既に日本株購入の事例も顕在化しているが、まだ本格化したとは言えない。これまでの海外投資家の日本株買いの主体はやはりヘッジファンドと言えよう。
今後、日本株上昇相場が持続するには長期マネー本格参入が条件となる。そこでは日銀金融政策が重要な決定要因のひとつとなろう。