豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 「過去最大の減税」発表、狼少年になったトランプ大統領
Page2302

「過去最大の減税」発表、狼少年になったトランプ大統領

2017年4月27日


フランス大統領選第一回投票と北朝鮮Xデーに関する二つの「悪夢のシナリオ」を通過。市場に漂う束の間の安堵感を再び揺さぶったのはトランプ大統領だった。

「過去最大」と鳴り物入りの大型減税案に関しては、予告発表前から市場の期待度は低かった。就任100日の「セレモニー」程度に受け止め、株式市場でも「噂で買ってニュースで売る」ことになろうとの予測が流れていた。
それでも市場が期待を捨てきれなかったのが、米国大手企業がかかえる巨額海外留保の本国送金に対する課税負担軽減だった。事前に外電で「レパトリ課税は35%から10%へ減税」との政権関係者談話も流れていた。しかし蓋を開けてみれば「数兆ドルの海外留保に一回のみ課税」の文言だけ。ムニューチン財務長官も記者会見で、具体的減税幅は議会と調整中で「競争的なレート」と述べるにとどまった。そこでこの恩恵を最大に受けるアップルの株価がまず売られた。マイクロソフト、アルファベット、オラクル株もこれに続き下落。
もはや「驚異的」とか「過去最大」などの表現で演出してみせても、市場では「狼少年」扱いだ。


トランプ大型減税が論じられるとき、頻繁に飛び交うキーワードが「歳入独立性」と「ダイナミック・スコア」。前者は、歳入は減らさずとの共和党伝統的財政均衡論。法人減税分を国境調整税導入で賄うとの発想であった。しかしこの保護主義的新税構想も、強まる反対論のなかで棚上げを余儀なくされた。結局、トランプ大統領は財政出動による経済成長で税収増を見込む。これが「ダイナミック・スコア」と呼ばれる。しかし、明日金曜日に発表される第一四半期GDPは1%を割り込むことが見込まれる。アトランタ連銀のGDPナウも0.5%まで下落している。市場は6月利上げに懐疑的になってきた。そのような市場環境のなかで、経済成長率3%達成可能と言われても虚しく響く。減税案発表後に債券市場が反応薄だったことが示唆的だ。


外為市場ではドルインデックスが100の大台を割り込み98台まで下がっている。
欧州リスク、北朝鮮リスクも根強いが、トリはトランプリスクという実態を見せつける市場展開である。


金価格は1260ドル台後半で下げ渋り。


今朝(木曜)の日経朝刊商品面にもそのような見出しの記事あり。私のコメントは中東リスク、特にイランにかねてから注目。「国民に弱腰のレッテルを貼られないようロウハニ大統領は米国に対して強硬にならざるを得ず。金にとっては地政学的リスクが増幅する強材料となる。」イランは第二の北朝鮮。武器で連携しているしね。ロシアの後ろ盾もあるのでビミョーな存在。


といいつつ私はもう連休OFFモード。今朝もNY大引けを見届けてから、昨日書いたのと同様のスケジュールでガーラ湯沢半日スキー。「いつ寝てるの?」とよく聞かれるけど、私はどこでも時間があればコテンと寝れるのです(笑)。それも深い睡眠。我ながら便利なカラダですね~。今日はスキーしてたら、スキー場のど真ん中に白い花が咲いてました。


2572c.jpg


花の中を滑るなんて、なんと贅沢なことよ。ちなみに、私のツイッタープロフィールは「得意分野、スキー系、鮨スイーツ系、温泉系、最近、経済とか金とかにも興味もってます。」スイーツ道は道を極めたら血糖値上昇で免許皆伝、卒業(笑)したけどね。スキー、温泉、花見、鮨。毎日楽しくて楽しくて~。


2572a.jpg


2572b.jpg


2017年