2017年4月3日
まず、一昨日土曜日のABC朝日放送で吉本の芸人さんたちに分かりやすく英国EU離脱について説いた90分情報番組「正義のミカタ」。
妻(英国)と夫(EU)が、なんで離婚騒動になったのか。夫はあれこれ口出し多く、妻はやってられない。電気掃除機の消費電力は1600ワット以下とまでおしつける。吸引力弱く部屋のゴミがクリーンにならずとも、電力エネルギー節約、温暖化ガス規制のほうが重要とのEUお役人の価値観。電気湯沸しポットまで。
それでも別れてもお友達でいようね、と両者とも語るが、勝者なき離婚協議の様相。まずは夫が「手切れ金7兆円払え」。妻は「払う義務などないわ」。夫は「28人でビール飲んで、一人だけ抜ける時に、自分の飲んだ分は払うものだ」。ゆえに、払わねば離婚後のお付き合いについて話し合う意志なし。妻は、移民は制約。貿易は今まで通りに近い自由貿易を維持したい。いいとこどり。更にEUが突っぱねるなら、対テロ対策や欧州共同警察機構(ユーロポール)にも英国は協力しないと恫喝。最悪、離婚協議不成立のまま2年後の期日を迎えることに。
次に話題はガラッと変わり、超真面目な米国金融政策についての原稿(硬軟のモード転換が大変だよ 笑)。
FRBの利上げ回数が債券・株式・外為市場を揺らすなかで、利上げせずとも同様の政策効果が期待できる政策手段への注目度が高まっている。
量的緩和の結果、4兆ドルを超える規模にまで膨張したFRBの資産規模の縮小だ。具体的にはFRBが買い入れ、保有している米国債と住宅ローン担保証券を減らすことになる。現在はFRB保有債券が満期に達すると、償還された分は再び債券に再投資されFRB資産規模を減らしていない。基本的に「緩和姿勢維持」とされる所以だ。これが「再投資」されなくなると、その分FRBの債券購入は減るので実質的な「引き締め」効果をもたらす。結果的にFRBの資産規模も縮小されることになる。
故に、FRB資産規模縮小は利上げに相当する政策効果あり、と見做されるのだ。
31日、NY連銀ダドリー総裁は外電インタビューで「今年か来年のどこかで、保有資産を再投資せず償還することになっても驚かない。」と述べた。この利上げ代替策が実行される場合には「利上げをいったん停止する可能性もある。」とも語っている。
市場は今後の利上げ回数議論では「FRB資産縮小による利上げ中断」のケースも考慮せねばならない。
その場合FRB資産縮小の政策効果は利上げ何回に匹敵するのか。
今後FOMC内での活発な議論から目が離せなくなる。
未体験ゾーンの政策手段ゆえ、市場が過度に反応するリスクもある。2013年5月に当時のFRB議長バーナンキ氏が「量的緩和縮小」の可能性に言及しただけで市場が大混乱に陥った、いわゆる「バーナンキ・ショック」の事例も未だに鮮明に記憶に残る。
そのバーナンキ氏は現在、自由な立場からの意見として、FRB資産規模縮小には慎重な意見をブログで述べている。市場に流通する通貨量がリーマンショック前には8千億ドル程度であったが、現在は1.5兆ドルにまで増加した。FRBスタッフの推計では今後2.5兆ドルにまで増えそうだ。その理由には、経済成長、低金利、海外からのドル需要増加などを挙げている。FRBの保有する最適資産規模も現在は2.5兆ドル以上と見て、今後10年間には4.5兆ドルに増加しよう、と書いている。故に、今後数年間に資産規模縮小を急ぐ必要性はない、とする。
いっぽう、現FRB議長イエレン氏は、FOMCで資産規模縮小が議論されていることは認めている。
賛否両論分かれるだけに、現在のFOMCで「永続的に」投票権を持ち、最も影響力のある一人と見られているNY連銀ダドリー総裁が具体的可能性に言及したことに、市場も身構えざるを得ない。
ときあたかも31日に米商務省が発表した個人消費支出統計(PCE)の中のインフレ指標(PCE物価指数)は、ノン・コアで遂にFRB目標2%を突破して2.1%(前年同期比)となった。食料品・エネルギーを除くコア指数も1.8%とFRB目標に接近している。数あるインフレ指標のなかでFRBが最も注目する数値ゆえ、FRB金融正常化議論への影響も必至だ。
今後利上げ回数を論じるときには、FRB資産縮小規模の予測も加える必要が高まってきた。
最後にガーラ湯沢の写真。今年は寒さが残るので未だ雪はたっぷり。但し、山肌には雪崩にえぐられた跡が。雪崩は怖いよ。本当に。