豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 市場を覆う3つの要因
Page2277

市場を覆う3つの要因

2017年3月22日

世界的な株価下落には以下の複合要因がある。

1)トランプ政権不信

米国内で最も注目度の高い医療改革法案について議会の承認が危うくなった。この調子では、株式市場が最も期待する減税法案の実現性も疑問視される。特に減税分を補うはずの目玉の国境調整税に関して、共和党内外で賛否両論渦巻いている「2~3週間内に驚異的な税制改革を発表する。」とのトランプ発言に乗って、割高とも思われる米国株式を買い増してきた投資家たちが見切りをつけ始めた。

更にコミーCIA長官が議会証言で、トランプ陣営とロシアが大統領選挙期間中に連絡をとりあっていたことを調査中と述べたことも、政権への不信感を増幅させている。同長官は、トランプ氏がトランプタワーがオバマ陣営により盗聴されていたとツイートした件も証拠なしと証言している。

市場のトランプ政権への期待は剥落しつつあり、現実路線の妥協点を模索している段階だ。

2)FRBの利上げ遅延観測

3月FOMCで今年の利上げ回数が12月時点と変わらず3回とされたことで、俄かにイエレン氏のハト派(利上げ慎重派)寄り姿勢が注目されている。米10年債利回りもFOMC前は2.6%台まで上昇していたが、2.4%台まで下がっている。マネーの流れも株から債券へ逆流が顕在化してきた。

ドルインデックスも100の大台を割り込み、利上げしたのにドル安という現象が起きている。FRBのタカ派(利上げ積極派)姿勢を見込み、ドルを買い増した通貨投機筋が慌てて手仕舞いのドル売りに走っている。ドル買いポジションは「もっとも混みあっているトレード。」と言われただけに反動も大きい。

しかも、ドラギECB総裁の「デフレ克服宣言」がECB緩和縮小観測を誘発してユーロ高に振れ、これもドル安要因となっている。

円は現水準ではG20でも通貨安の誹りを受けることはなかったが、とばっちりで円高となっている。

3)原油安

ヘッジファンドが原油買いポジションをひっくり返して、原油売りポジションに転換しつつある。生産国合意に入っていない米国が増産。OPEC内でもサウジ(スンニ派)とイラン(シーア派)の溝は深く、合意順守がどこまで維持できるか疑念は絶えない。基本的に供給過剰の商品をOPEC内の「談合」で生産調整することの難しさは変わらない。

この原油安が市場内にはリスクオフ・ムードを醸成して、金は急騰中だ。

更に、欧州リスクも4~5月にかけて再燃必至の情勢だ。オランダ下院選は「前座」。「本丸」はフランス大統領選挙だ。今週もオルリー空港で銃撃戦があったが、大きなテロでも勃発すればルペン候補には追い風となる。

2017年1~3月期も期末に近づき、4~5月はトランプラリーの調整局面を連想させる展開だ。

Sell in May の相場格言も現実味が増してきた。

期待された日経平均2万円突破が遠のき、反動で1万8千円、円相場110円の大台を試す可能性も浮上している。

金価格は1240ドル台まで急上昇。1250ドルの大台を窺う。

2017年