豊島逸夫の手帖

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北朝鮮緊迫、有事の金を考える(初心者篇)

2017年8月23日

以下は昨日8月22日読売新聞朝刊に掲載された原稿です。

北朝鮮情勢が急速に悪化。「有事の金買い」により金価格が急騰しました。「半島有事により金は更に上がるのか?」「今、金を買っておいた方が良いのか?」

不安に駆られた個人投資家の皆さんからは様々な質問が私のところには寄せられています。

結論から言いますと、有事の金だとあおられ買い急いではいけません。プロはとっくに買っていて、どちらかと言うと、値が上がったところで、売りのタイミングを虎視眈々と狙っているからです。そこで買いに出れば、まさに飛んで火に入る夏の虫でしょう。

では個人はどうすればいいのでしょうか。

答えは、平時から少しずつ、毎月3000円とか5000円とか定額で買い増していくこと。これが長期投資の王道です。

スイスで私は、娘の誕生日ごとに金貨を一枚ずつ買って誕生日ごとの記念写真とともにアルバムに貼っていく事例を多く見てきました。その分厚いアルバムを嫁ぐ日の前の晩に母がプレゼントするのです。嫁いだ先の家が傾くような「家庭内有事」に遭遇したら、その金貨を売ってしのぎなさい、というメッセージを添えて。

これこそ金投資の原点だと感じ入ったものです。

平時から有事に備え金を積み立てるという発想ですね。

毎月積み立てる額は、「居酒屋一回分」あるいは「女子会一回分」。無理のない範囲に留めるべきです。

金は金利も配当金も生みませんが、いざというときに、値が上がり、財産の目減りを補ってくれるもの。欧州では「金は嵐の晩に輝く」とも言われます。「投資」というより「保険」に近いとも言えるでしょう。

北朝鮮問題で日本人にとっても「有事」が他人事ではなくなった今こそ、本来の金の資産としての役割を考え直す機会だと思います。

世界最大の金需要国「中国」の貴金属店では、赤ちゃん連れが目立ちます。子の将来のために金を買い貯めていくのです。

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原稿以上

そして、今日の旨い物写真はサーロインの付け合せ野菜色々。北海道の山の幸がつまっています。札幌のイタリアンは素材にも恵まれレベルが高いですね。私のお気に入りはTAKAO。高尾シェフは札幌イタリアンの草分け的存在。料理センスが抜群です。

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2017年