豊島逸夫の手帖

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夏場の乱高下

2004年7月8日

7月に入り、欧米市場は早や、夏期休暇モードである。取引量も薄くなり、ただ、値だけは派手に飛ばしている。6日には389ドルまで急落したかと思えば、7日には403ドルまで急騰した。円建てでも前日比で10円程度の変動は当たり前の世界だ。 市場のテーマは、金利の呪縛からやっと解放され、外為市場のユーロに移った感がある。ドル安に再びスポットライトが当たり、その対象通貨としてのユーロの動向に市場の関心が集まっている。円はやや蚊帳の外である。 ここにきてのドル安、ユーロ高のきっかけは先週末発表の米雇用統計であった。事前の予想24万人に対し、実際は11万人と大幅な減少だった。ここのところ20~30万人が続いていただけに、失望感が強い。やっぱり雇用無き成長に逆戻りかという失望感である。そうだとすれば、金利もおいそれとは上げられなくなる。でも、市場は既に金利上昇を折り込んでいる。この意外感が相場を動かす。

ただ、雇用統計は従来から毎月の振れが大きいことで有名である。これをもって、結論を導き出すのは如何にも早計といわねばならぬ。

この夏は、米国経済指標の出方次第で、相場の値だけは大きく跳ねそうだ。370ドル台だってありうるし、420ドル台だってあり得る。ただ、それぞれのレベルで持続性があるかといえば、それは疑わしい。取引量が薄いからだ。

まぁ、デートレーダーを自認する向きには、エキサイティングな夏になるだろう。同じ汗でも冷や汗もかきそうだ。

一般個人投資家の立場から見れば、あまり短期的乱高下には目を奪われないようにしたい。レンジ相場だから、安値を丁寧に拾いたいところだ。

2004年