2005年1月17日
価格上昇にもかかわらず、供給は減少、需要は増加、という図式が昨年からの金需給の特徴である。13日に発表された恒例GFMS社の最新金需給レポートは、この良好なファンダメンタルズを裏づける内容となった。
2004年の速報値を見ると、供給サイドでは、新産金が114トン減り、2,478トンとなった。これは実に1940年代以来の大幅な落ち込みである。ランド高とか鉱山事故など特殊要因によるので、2005年には再び2,558トンまで増えるとのことだが、いずれにせよ、価格が上昇したのに生産は従来より増えないということだ。生産コストは13%上昇しキャッシュコストで250ドルとなった。なかでも、南アのコストがランド高の影響で349ドルまで跳ね上がったことが目を引く。
更に、中央銀行の金売却も19%減少し、500トンを割り込み、497トンとなった。今年も、この傾向は続きそうとのこと。スイスの売却プログラムが終了し、ドイツの売却が低水準に留まるとの見通しによる。 また、スクラップも高値にもかかわらず、12%減少し、829トンとなった。先高感が支配したゆえである。
次に需要サイドに目を転じると、ヘッジはずしが424トンに達し、前年の310トンを大きく上回ったことが注目される。しかも、その三分の二が4-9月の価格が比較的低い期間に集中しているという。まさに、ヘッジ解消が下値を支えたという図式が鮮明に現れた。M&Aによる統合による影響も大きい。アングロゴールドとアシャンティの合併により計60トンもヘッジが減らされたことが良い例である。 需要の大黒柱 宝飾需要も高値をこなして4%上昇し、2,622トンを記録した。インド、中国のユーザーが高値慣れした結果である。但し、今年は更なる価格高騰が見込まれるので、さすがに5%ほど減少しそうだ。 ハイテク需要も11%増と好調を維持。
そして、需給バランスの各項目で唯一弱い数字を出したのが投資需要だ。67%落ち込み314トンに留まった。これは、昨年前半に起きた投機家の売り手仕舞いと現物の売り戻しによるが、年後半には再び増加基調に転じている。
以上の市場環境をベースにして、GFMS社は今年前半の平均価格を447ドルと予想。1988年の高値483ドルには届かないだろうが、420ドル以下の水準は限定的としている。