豊島逸夫の手帖

Page57 パーフェクト ストーム

2005年10月28日

米大統領ブッシュが追い詰められている。"パーフェクト ストーム渦中のブッシュ"という表現で、ブッシュ政権の危機的状況が報道されている。ハリケーン対策の不手際で、イラクを救済するためにニューオーリンズを犠牲にしたと叩かれ、イラクの米兵死者が2000人の大台を突破したことで一段と非難が高まっていた。既に、支持率は急降下。その矢先に、昨日は、ブッシュ指名のマイヤーズ最高裁判事候補が遂に辞退に追い込まれた。この件は、ブッシュ個人の弁護士である同女史を指名したことで、身内の共和党保守派からでさえ強い批判を浴びていたのだ。我々日本人にはピンとこないが、ここ数週間米メディア報道はこのニュースでもちきりだった。更に、明日にも、もうひとりのブッシュ側近、同政権の主参謀といわれるローブ氏が、CIA情報リーク疑惑関与の件で訴追されるかもしれない、という状況にある。ボクシングに喩えれば、カウンターパンチでフラフラしているところに強烈なワンツーパンチを浴び、ダウン寸前と言っていい。

以上は米国国内の問題だが、時を同じくして、イラン情勢が険悪化の一途である。一昨日は、イラン大統領が、イスラエルを"eradicate"(消す)と挑発的発言。それを受けて、英ブレア首相は、これまで外交話し合い路線を模索してきたが、軍事力行使も仄めかす。米ライス国務長官はイラク シーア派に対するイランの介入を非難。はっきり言って、一触即発に近い状況である。 このように書き綴ってくると時事ニュース解説みたいだが、今後金市場に影響を与える(未だ織り込まれていない)サプライズとして無視できない材料なのだ。いま、金市場に流入しているマネーの多くは、米国の政治経済情勢に不安を感じ、地政学的リスクを嫌う投資家のおカネである。当面の価格レンジ上限480ドルを突き抜けるためには、このようなマネーの流れを加速させる意外性のある材料が必要だ。その兆しが見え始めた。

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