2005年9月9日
一昨日GFMSとWGCが今年第二四半期(Q2)の世界金需給統計を発表した。ひとことで言えば、高値にも関わらず、需要は堅調ということが実証されている。
2005年Q2の金需要は949トンで前年同期の835トンに比し14%アップ。同期間の金価格上昇(9%)をこなして増加したことになる。2005年前半(1-6月)ベースで見ても、需要は1939トンに達し、前年同期の1610トンを21%上回った。
なかでもインドが絶好調と言っていい。Q2に277.2トンという四半期ベースでは過去最高を記録した(1998年金輸入解禁直後の記録を更新)。とくに5月の婚礼シーズンに購入が集中。6月には価格高騰により若干緩んでいる。 絶好調の背景は、マクロ経済環境、天候に恵まれた豊作、そして宝飾流通チャネルの拡大などが挙げられる。
中国も68.5トンと、12.9%アップ。インドとは対照的に、今年は婚礼には"縁起の悪い年"とされるにもかかわらず、宝飾購入は増えた。これは、伝統的な24K純金ジュエリーが減少したものの、上海など沿海部での18Kファッション・ゴールドジュエリーが増加したためだ。純金ジュエリーは"ださい""おばさんの定番"といったイメージは、日本と同様になりつつある。同国宝飾業界もイタリア的なデザインの18Kものの生産、販売にシフトし始めた。まぁ、同国の発展段階から言えば、当然の成り行きであろう。
なお、供給サイドをまとめると以下のとおり。
◎新産金は620トンと前年同期(605トン)に比べ微増。
◎鉱山ヘッジはマイナス85トン。つまり、ネットで買戻しが上回る状況が続いた。前年同期はマイナス107トンだったから、買戻しのペースは若干緩んだことになる。
◎公的売却は147トン。前年同期79トンに比し、これは増加。ただし、通年では、第二次ワシントン協定の年間500トンという売却枠に収まると見られ、想定内の四半期間のばらつきといえる。
以上、需給をまとめて分析すると、現在の金価格上昇は、supply-driven(供給主導)というより、demand-driven(需要主導)の色彩が強いことが言えよう。(demand-drivenという言葉は現在の原油高騰を説明するときに頻繁に使われる言葉だが)。