豊島逸夫の手帖

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中国当局が目指す"適度のバブル"

2010年1月14日

商品市場が中国預金準備率引き上げの報に揺れている。でも、中国当局に本気で不動産バブルを弾けさせる余裕はない。多民族国家を治める北京の共産党本部が最も恐れるのは、人心の不安定化である。経済成長率16%が行き過ぎなのは当たり前の話だけど、それを12%にまで減速させるだけでも、多くの商業用不動産が破たんして失業が増えてしまう。

正月に広州に行った時、近くのミッションヒルズというワールドカップ開催のゴルフ場にも行った。200ホール近い世界最大規模で、周辺は多くのバブルっぽい超高級リゾートマンションなどが建設中。顧客の80%は中国人で、ゴルフ場は常に予約を取るのが難しいほど繁盛している。ゴルフ料金は日本並みだが、キャディーの手取りは数百円の世界だ。ここの商業用不動産に対する融資が仮に削減されれば、施設は縮小され、即、失業が生まれる。

最後には経済原理より政治的判断が支配する国家である。

そもそもバブルの根源は人民元に対する人民銀行の姿勢。ドルペッグを外して自由化すると宣言したものの、ちょこちょこ人民元高へ誘導したかと思えば、一年以上、実質ドルペッグに戻したりしている。経済用語ではクローリングペッグというのだけど、芋虫が這うように、ノロノロ段階的に人民元を切り上げると、マーケットには常に人民元先高を見越した投機マネー(熱銭)が流入する。かといって一気に人民元を自由化して切り上げれば、輸出に大打撃を与え、それこそ大量の失業を生んでしまうから、それは出来っこない。

結局、人民元の問題が過剰流動性流入=バブルの元凶なのだ。この問題に手を付けずに、預金準備率で市中の流通マネーを抑制しようと図っても、それは小手先の方策で、根本的解決にはならない。過剰流動性が経済システムの中にマグマのように蓄積してゆくだけだ。

商品市場への影響に関しては、これまで中国フィーバーの中で中国要因を囃し過ぎた感も強く、期待先行の部分が剥離する過程と見る。しかし超大型財政出動による高速道路などのインフラ整備から派生する素材需要など健全な部分も多い。日本のインフラ投資には箱モノとか立派すぎる農道建設とか無駄が多いのだが、中国のような経済成長国家では、インフラ作り過ぎバブルは、さほど心配ごとにはならない。

まぁ、いきなり年初から、さしたる理由もなく、ご祝儀相場的に買い上げられてきたわけで、お屠蘇気分が抜けた二日酔い相場と言えるんじゃないかな。 

今朝は、きりたんぽを食べながらブログ書いています。うちの御台所(みだい)様の家系ルーツは秋田なので、おばあちゃん秘伝の自家製きりたんぽ。たんぽ串にお米を塗って焼くところから手作りである。舞茸、人参、ネギ、しいたけ、豆腐、鶏肉など賑やかな具が楽しい。ダシの味ときりたんぽのお焦げのカリカリ感が決め手だね。一回作ると、3-4日は朝食で食べ続ける。今朝みたいな、しばれる朝には、暖まるねぇ。

きりたんぽ食べながら、昨晩発表のベージュブックを読むと理解も早いのだ。

2010年