2010年12月16日
米国10年債の利回りが3.5%台にまで続騰。つい数カ月前は2%そこそこまで急落していたから、かなりの変動である。問題は、これを良い金利上昇と理解するのか、悪い金利高とするのか。株式市場では良い金利上昇説が出がち。金市場では悪い金利上昇説が出がち。
足元でクリスマス商戦好調が報道され、ブッシュ減税延長に失業手当給付延長のオマケまでつくと、消費改善―景況感好転期待による金利上昇説が強まる。投資家のリスク許容度も増し、「安全資産」とされる債券からリスク資産の株、商品へマネーがシフトする、とも語られる。
しかし、クリスマス商戦で買われる物は値引き商品が圧倒的で、減税の結果「大きな政府」の財政赤字拡大が懸念されるとなると、これは悪い金利高ということになる。イールドカーブがこれまで以上に立ってきていることも見逃せない。虫の目で見れば良い金利高にも見えるが、魚の目で見れば悪い金利高っぽいということだろう。
さて、昨晩の金価格は1380ドル台にまで急落。ムーディーズのスペイン国債格下げ示唆→ユーロ安→ドル高→金安という解釈であるが、これも虫の目だね。魚の目で見れば、欧州財政危機=信用リスク上昇で金買い材料となるは必至。まぁ、所詮クリスマス前のポジション調整ではあるが。
FOMCもサプライズは無かった。量的緩和再確認程度。
中国も急激な物価上昇に対して、景況感を悪化させるほどの引き締め策を打つ気はサラサラない。物価上昇より失業のほうが暴動に繋がりやすいからだ。中国人民銀行がなんといおうと、所詮、党の司令塔からの指令を忠実に実行する優秀なテクノクラート集団である。これは、いつも、筆者が政治の町、北京で感じることだ。上海は経済の町だけど、現地経済界のトップは常に北京を見ている。
その北京レポートの特別番組は明日オンエアー。
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それから明後日開催の緊急セミナー(ブログ、ツイッタ―限定)の当選者には、昨日までに通知が行きました。通知が来なかった方々は残念ながら今回は外れです。また1月には日経プラスワンセミナーなどもありますから、そこで2011年市場展望なども語るつもりです。