2010年7月27日
FTの名物コラムニストで、本欄でも時折紹介してきたジリアン・テット女史が吠えている。「今こそ、米国のファニーメイやフレディーマックにもストレステストすべきよ!」たしかに。
2008年に米国住宅金融公社の二社は実質的に国有化された。すでに1450億ドルの公的資金が投入されている。今後、さらに(低く見積もって)3900億ドル、(場合によっては)1兆ドルの追加投入が必要という予測だ。
なんせ、この二社が発行した住宅ローン債券の残高は5兆5千億ドル。米国住宅金融市場の半分を占める規模だ。しかし、その実態は明らかにされず、ブラックホールと言われてきた。要は、ヤバ過ぎて情報開示などできる状態ではないのだ。しかもエージェンシー債と呼ばれるこの二社発行の債券の引き取り手が民間にはいないのでFRBが買い取ってきた、という経緯もある。
しかし、欧州の銀行でさえストレステストに踏み切ったのだから、ワシントンもGSEをストレステストすべし、というのが同女史の主張だ。
でも、オバマは、ほっかぶりを続けるだろうね。実態が明るみに出て最も痛みを感じるのが選挙民なのだから。そもそも、国が国民のマイホーム実現に手を貸すこと自体は悪くない。ただ、米国の場合には、やり過ぎて潰すに潰せなくなってしまったわけだ。
毎週のように発表される米国住宅関連データも、この二社が存続して住宅の売買が成立していることが大前提となっている。イメージとしては、オバマが必死で支えている土俵の上で相撲が行われている、と言えようか。
さて、金価格は再び1180ドルの攻防。上海からのコメントを引用すると、
上海金価 下方支援位 1175 上方阻力 1190或1197
ということになる。
漢文というのは簡潔でリズムがあり、なんか説得力があるね。中国市場に下方支援と言われると、なぜか安心してしまう(笑)。
欧州ストレステストの結果発表が金曜の欧州市場引け後だったので昨晩の出方を興味深く見守っていた。まぁ、本当に結果が良ければ、金はもっと売られていたと思う。まだ心配の種は欧州も米国も尽きないから金価格も高値圏に留まっている。
さて、週末に事務所引っ越しました。といっても同じフロアーの広いスペースに移っただけだけど。眼下に緑の東宮御所や迎賓館が広がる景色が気に入っています。(昔だったら不敬罪に当るだろうね。)
仕事は、中国、インドの市場育成と日本の機関投資家市場の開発が新たなメニュー。今週は機関投資家向けセミナーとか勉強会だけで9回も。明日は、東証で、三取引所連合セミナー=東証、大証、東工取という珍しい組み合わせのイベントも。総合取引所構想を睨んだ動きかな...。
日本でも大きなマネーが動き始めたことを実感。来月早々は、また中国出張。今年は夏季休暇もお預けとなりそう。