豊島逸夫の手帖

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FRBはマネーばら撒きモード 議会は歳出ばら撒き緊縮モード

2010年11月4日

中間選挙は共和党大勝利。大きな政府から小さな政府へ。共和党は財政赤字削減のための緊縮バイアスが強い。
"We are Greece in a few years. We are a banana republic."
民主党の歳出ばら撒きを放置すれば、我が国は数年でギリシアの二の舞になる。グレッグ共和党上院議員の言葉である。(バナナ・リパブリックは発展途上小国の蔑称)

しかし、バーナンキ率いるFRBはFOMCで6000億ドルの第二次量的緩和を決定。こちらは、マネーばら撒きである。

さて、昨晩のNY市場の動き。

まず、寄りつきでは、ISM非製造業景況感指数やADP全米雇用レポートなど、米国マクロ経済指標が相次いで好転の数字。株、ドルが買われ、商品は売られる展開に。

しかし、日本時間朝3時15分のFOMCの6000億ドル発表直後は、一転してドル安、商品高に振れた。しかし、すぐに「噂で買って、ニュースで売る」の大きな売り注文が発生。金価格は1328ドルまで急落したが、その後、「ニュースで売る」が一巡すると、新規の買いがジワジワ入り、結局1348ドルまで買い戻された。浮動株主の売りが一巡した後で、安定株主の買いが入る展開。

マーケットとして、今回の決定に大きなサプライズは無い。しかし、冷静に考えれば、6000億ドルを来年4-6月期までという量はハンパではない。ばら撒かれたマネーを 本当に回収できるのか、という不安がマーケットを動かす。結局、量的緩和で米国経済は良くなるわけではない。カネ回りが良くなるような幻想が生じるだけだ。

上院は僅差で民主党、下院は共和党のネジレ現象=gridlockも、経済運営に関する不安感を煽る。これが、金の世界から見た経済環境。

魚の目で見れば、中間選挙、FOMCを経て、1300ドル台が徐々に固まりつつある、ということだろう。かなり荒っぽい値固め局面であった。

2010年