豊島逸夫の手帖

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リスク回避の円買いからドルキャリー復活へ

2010年8月5日

ここにきてリスク回避の円買いから、ドル全面安の中のドル売り=円買いに変質してきた。ドルキャリー復活の兆しも見られる。

バーナンキが珍しく不安を煽るような発言を続けている。米国経済の先行きは、unusually uncertain=異常に不透明とか、considerable way to go to achieve full recovery=本格的回復の道は遠いとか。

Many Americans are still grappling with unemployment, foreclosure and lost savings.
失業と住宅差し押さえが収まらず、貯金を取り崩して凌ぐ米国民の実態が見える発言だ。

地方レベルの州経済にも破綻の兆しが見えることも足を引っ張る。地方警察のトップが年収五千万円とか信じられない話も出てくる。

一方、銀行は引き続き不良債権を抱える。バランスシート調整が終わらず、貸し渋りが続く。そもそも民間からの資金需要も出てこない。民間の在庫補てんも一巡。

民間家計債務の削減も遅々として進まず、消費の足を引っ張る。そして財政出動の景気刺激効果も薄れてくる時期。ステロイド点滴が外された患者の容体はどうなるか。

マーケットでは、出口戦略とか利上げ転換などの話もトンと出なくなり、もっぱら量的緩和パート2(QE2)の有無が語られる。そのような状況下でドル全面安の様相。

ただ、先行してドル安が進んだドル円に関していえば、そろそろ円高もピークと感じる。ドル全面安という現象は、売りのクライマックスを示唆と映る。前回本欄でグラフを掲載したシカゴ通貨先物の投機的円買いポジションが急速に膨れ上がっているしね。

さて、金価格のほうは下がりきらず、焦れたショート(空売り)が買い手仕舞いに入って急反騰した。NY金先物買い越し残高も32.9トン増えて587.5トンへ。500トン台になると地合いが軽くなった感じがするのは高値慣れかな。とりあえずショート筋がワンツーパンチ食らってダウン喫したあと、立ち上がりファイティングポーズを作った感じなのだが。

マクロ経済を鳥の目でみれば、キーワードは、先送り。FINREG (financial regulationの略語。金融規制)も、出来あがってみれば妥協の産物で、抜け穴だらけ。甘い。欧州のストレステストも甘い。バーゼルも景気回復を優先させ、銀行に甘い内容。バブル後の構造調整の痛みは全て先送りで、まずはデフレ回避モードとなった。

さて、ブログの更新間隔がまたまた空いてしまった。中国人民銀行の銀行金解禁第二弾が発表され、実質新興国担当としては計画修正などに追われる。同時進行で日本の機関投資家担当として、連日、機関投資家との対話。結構ブログやツイッタ―見てくれている人達が多く、「ブログが7月29日以来更新されてませんね。」といきなり言われたり。はい、今朝は更新しましたよ、xxさん。

お盆休みは北京。勿論仕事です(恒例の京都大文字には行けず。とほほ...)

2010年