2010年2月10日
ユーロへの投機的売りが記録的な残高に達したところで、昨晩は相場反転。先週のシカゴ通貨先物市場(ヘッジファンドの売買の指標とされる)におけるユーロ売り越し残高は、7000億円相当に膨らんだ。PIGSの財政不安を嫌気したユーロ保有者のヘッジ売りもあるだろうし、どさくさに紛れひと儲け企む投機筋の空売りもあろう。でも、このような通貨先物売りは、早晩手仕舞われる宿命。その兆しが昨晩見られた。
ヘッジファンドが年初から、すでにPIGSなどの国債格下げ、債務不履行リスクに照準を当てて動いていることは、日経マネー最新号の筆者連載コラムでも指摘した。「噂で買って ニュースで売る」という彼らの常套手段により、年初から一早く動き、ニュースで騒がれると、いまやすでに売り手仕舞いに転じている。
同コラムにも書いたことだが、彼らの次の照準は英ポンド。ドバイにはアブダビが救いの手を差し伸べ、ギリシアにはドイツが救済の姿勢だが、イギリスを救おうという篤志家の御仁は現れそうにない。
さて、そのイギリスの経済紙FTの社説が日本の危機的財務状況について論じている。要は、他国に比し、騒ぐ程の話ではない。むしろ日本はデフレからの脱出のほうが切迫した問題ゆえ、当座の財政規律には縛られないほうがよかろう。日銀も、量的緩和含め、デフレ対応に金融政策優先順位を置くべしとの論調。
「騒ぐ程の話か」という議論の根底には、要は、ジャパンの家庭内問題(family issue)との認識がある。つまり、日本の公的債務を引き受けているのは外国マネーではなく、日本国民の資産である。対外債務比率は非常に低い、ということ。
でも、ここに海外から見た視点と、国内に住む国民の視点との、大きな認識ギャップがあるのだよね。ジャパンの家庭内問題ということは、オヤジの積み上げた借金を、息子が払うということでしょ。これでは息子は納得できない。オヤジは少なくともバブルの恩恵でちっとはいい思いもしたろうが、俺たちは社会に出てから何もいいことない、ということになる。
話はユーロ不安に戻るが、(このアットランダムな展開がブロクのいいとこ。こういう気楽さがなければ、毎日書いてられんしね)、EUによるギリシア救済と言っても 結局はドイツ頼みということなのだ。でも、ドイツも、うっかりギリシアを救済すれば、スペイン、ポルトガルなどもドイツに擦り寄ってくるかもしれず、おいそれと手を出せない。だからドイツ政府筋は口を濁している。
それからトヨタ・リコール。この問題は、日本の対応の遅さ、というイメージを更に植え付ける結果になってしまった。これまでも国際経済の議論などで、どこかの政府の政策対応が遅れると、必ずジャパンの失われた10年が引き合いに出され、このまま放置すればジャパンの二の舞になると語られてきた。そこに、このトヨタ・リコール。数年前から問題が指摘されていたのに、ということで、やっぱりジャパンは対応が遅いという展開になっている。
そして、はっきりいって、欧米の論調には鬱憤を晴らすというニュアンスも強く感じられる。だって、トヨタ問題を厳しく語る欧米メディアのコメンテーターの頬が緩んでいるもの。隠せないものよね、人間の心って。
最後に今日の食の話題は、瀬戸高根島のみかんなど柑橘系セット。届いたばかりのオレンジをガバッと剥いたら、ドバッと水分が出てテーブルが水浸しになるほどだった。みずみずしいとは、このことだね。高根(こうね)島というのは、周囲11キロで、島の70%が急斜面だそうな。だから日当たりも水はけもばっちり。愛媛と並んで、知る人ぞ知る全国トップクラスのみかん、レモンの水準を誇る。島全体、見渡す限りミカン畑とか。一度行ってみたい。現地の気候風土の中で、枝からもぎたてを食したら、たまらんだろうな...。