豊島逸夫の手帖

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今年の夏は殊の外、暑くなりそうなワケ

2010年7月1日

昨日、今年の夏は殊の外、暑くなりそうとかいた。今朝は、そう感じるワケについて。

複眼構造の鳥の目でマーケット全体を俯瞰すると、なんか、いやーな感じ、というか兆候が出ている。

―円高
今回の円高が示唆することは、こんな酷い経済状況の日本より、さらにヤバそうな国々が欧米には並んでいるということだ。ドル、ユーロから円へ。今にも屋根が朽ちそうな駆け込み寺でも駆け込まねばならぬような状況。

―泰山鳴動ネズミ一匹の人民元弾力化騒動
やっぱり中国に国際経済不均衡是正に動くなどという意志もないし、国内経済的な余裕もない。近隣窮乏化政策は続く。China cannot save the world, but can save themselves.= 中国は世界経済の救世主にはなりきれないが、自国の救済なら出来る。

―JGB日本国債利回り低下
鳥の目で見れば、7年間のレンジを、下にブレークしたカタチ。7年間、円長期金利は超低位水準のレンジ内で動いてきたが、ついに下放れたことは示唆的。切羽詰まったマネー擾乱というべきか。同時進行で、ドル長期金利も低下。ついに3%を割り込み2.97%。株安、債券高でデフレの匂いがプンプン。

―スイスフランの対ユーロレート
こちらも7年ぶりにレンジを上放れた。避難通貨の代名詞みたいなSFRだけに、これも示唆的。欧州にただならぬ兆候を感じる。

―そしてゴールドはresilient= しぶとく高値圏を維持
これだけde-riskの動きが強まれば、金とて所詮リスク資産なのだから、売られても不思議はない。でも売られない。高値といわれようと、とにかくゴールドにしがみつく手負いの投資家たち。

このようにマーケットの至る所に異変の兆しが見えるので、取引の薄くなる8月は狙われやすい。Vulnerable= なにかあれば崩れやすい、という英語がぴったりくる。

ブログ読者の中でポジション抱えている人達は、夏休みの取り方に注意してね。

2010年