豊島逸夫の手帖

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もしアイルランド国債がデフォルトに陥ったら

2010年11月16日

非常に確率は低いと思うが、万が一アイルランド国債がデフォルトに陥り、それが南欧諸国の国債デフォルトへ波及した場合、金価格はどうなるか。

ここではリーマンショック直後の値動きがケーススタディーとして参考になる。まず株急落により、解約が殺到したファンドの換金(益出し)売りが殺到。それが一巡すると、金ETF市場などを通じて長期保有の年金や富裕層の買いがジワジワ入り、結局リーマン前の水準を超え、史上最高値を更新した。南欧の万が一の場合も、そのような軌跡を辿ることになると思う。

足元では、南欧不安→ユーロ安→ドル高で金が売られている。しかし、これは悪いドル高、悪い金利高によるもので、持続的な売り要因とはならない。南欧不安は、いずれ信用リスク・ヘッジの長期金買いを産む。

さて、注目の四半期ごとのSEC(米国証券取引委員会)登録ファンドの保有資産状況報告(F13様式と言われる)が、今朝、相次いで発表された。

9月30日現在の数字となるが、注目のポールソンは売らず。SPDRゴールドシェアの持ち高が31,500,000株と変わらず。金額ベースでは4,029,165,000ドル(前期は3,832,920,000ドル)。

ソロスは1.5トンほど売却。同持ち高が4,697,008株(前期5,198,308株)。金額ベースで600,794,000ドル(前期632,530,000ドル)。しかし、彼は、ishares gold trust を5,000,000株、新規買い。ということは、彼は買いを積み増した。

最後に、FT(フィナンシャル・タイムズ)に面白いコメントが出ていた。金は史上最高値更新でインフレを示唆。ところがコカコーラは、3年もので45億ドルを0.75%という超低金利で起債。これは投資家のインフレ期待度が低いことを示唆。どちらかが正しい。両方正しいことはない。

インフレ懸念とデフレ懸念の同居相場とは最近筆者がセミナーで語っていることなので、その流れの中の疑問だね。筆者は、短期デフレ懸念に対して強力なインフレ政策(量的緩和)が採られているので、長期インフレ懸念と見ている。

今日は岡山往復。新幹線車中で書いています。ネットが繋がるから車中は貴重な仕事場です。

2010年