豊島逸夫の手帖

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クリスマス直前の欧州格下げラッシュ

2010年12月22日

マーケットは事実上のクリスマス休暇入りであるが、ムーディーズの欧州格下げラッシュで、にわかに暗雲広がる。アイルランド5段階引き下げに続き、ポルトガル格下げを示唆。クリスマス明け12月27日の週からの実質新年入り相場は早々に荒れそうだ。

とくにここにきて欧州諸国に新たな不安材料が飛び出したわけではない。格付け機関が後手後手に回ってきた印象は否めない。マーケットとしては現状追認の印象が強い。格付け指標は遅行指標である。

昨日のスペイン国債入札はそこそこの買いが入り、とくに急速な悪化の様相は見られない。しかし疑心暗鬼のマーケットゆえ、利回りはじりじり上昇する。同日のスペイン国会は財政赤字3%削減の2011年緊縮予算を可決。でもマーケットはスペイン国民が黙って緊縮を享受するか懐疑的だ。

アイルランドはといえば、アングロ・アイリッシュ銀行の債券保有者がついに元本削減に合意。80%カットである。万苦(バンクが変更でこう出た)・オブ・アイルランドが先週50%カットを決めたが、さらに厳しい削減だ。

納税者に負担が集中するという非難に対する措置だ。とくにメルケルがドイツ人の心を代弁する形で、債券投資家にも相当の負担をという強力な主張を連呼し、その主張はメルケル統帥率いるEU/IMF連合進駐軍の手によって徐々に実行されつつある。あくまで徐々にであるが。

アイルランドの銀行救済には850億ユーロも必要とされるが、これは同国のGDPの半分以上に相当する額だ。厳しい...。

FRBは5月にECBに対する緊急流動性供与を発表。6月にECBに対し66億ドルの流動性供与を実施した後、回収し、現在のECBへの融資額は6000万ドルにまで減少していたが、ここにきて2011年1月までとされたECB支援を同8月まで延長と表明。

中国も北京に於けるEUとの「ハイレベル経済貿易対話」で一連の欧州支援策を発表。ここには中国の戦略が見え隠れする。欧州に恩を売って「市場経済国」として認知させ、対中ダンピング問題の矛先を和らげようという思惑である。

もちろん貿易の重要顧客である欧州には頑張ってもらわないと困るという事情もある。とにかく、この機に乗じて中国は2兆6千億ドルの外貨準備を国家戦略的に有効に使っている印象が強いね。したたかだ...。EUの後援会代表者みたいな振る舞い方である。

ついでに言えば、温家宝首相は先週インドそしてパキスタンを相次いで訪問。それぞれ首脳とにこやかに握手写真におさまる。この微妙な関係にある2カ国を手玉に取って、援助、貿易をちらつかせながら、最終的にはインド洋へのアクセスを切り開こうとしている。したたかだ...。

そんなしたたかさを見せつけられた後で日本のテレビニュースを見れば、国内政局一色。ふぅ...。

さて昨日書いた「日経マネーナイトin関西」の応募要項は以下の日経マネーデジタルのサイトへ。
http://special.nikkeibp.co.jp/money/

神戸、大阪、京都の三都物語だけど、筆者のセッションは個人的好み(笑い)で、絶対、京都を選択。澤上さんとのマイク奪い合い合戦のあとは、それぞれ参加者との交流会。ちなみに関西の虎屋工場が京都にあるので、東京同様、季節の生菓子(冬バージョン)を筆者のおごりで振る舞います。(財源は、お蔭さまで売れた日経出版からの書籍印税です!)
虎屋のHPから冬の季節の生菓子の生々しい写真がこちら。
http://www.toraya-group.co.jp/products/pro08/pro08_001.html

筆者は冬の京都の、エビイモと大根の炊いたの、じゃない、炊いたん、が楽しみ~。セミナーでは京都通を自認する者として、食べ処、見どころも指南しますよ(笑)。

2010年