豊島逸夫の手帖

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ジャパニーズ・ソブリン・リスク

2010年4月15日

昨日、講演の席でも、ツイッタ―でも、同じような質問が寄せられた。
「日本の国債が格下げする時代はくるか。」
「このまま国債大量発行が続いて、どうなるのか。金価格には影響あるのか。」

たしかに、いつまでも今の状況が続くはずはない。借金が永久に積み上げられることはない。どこかで臨界点が来る。そのとき、どうなるの?という素朴な疑問だと思う。少なくとも、今の政権には、その素朴な疑問に答える姿勢は感じられない。否、出来ないのだろう。

この問題は、本欄でも色々な形で論じてきた。要は、ソブリンリスクが欧州から米国、そして日本にも波及するということになると思う。その過程では「格下げ」も不可避だと思う。長期金利も「悪い金利上昇」になると思う。

そこで円安になるか否かは、米国と日本の財政悪化進行の度合いによる。悲しいことに財政赤字問題となると、日米いい勝負なのだ。もし米国債のほうがヤバイとマーケットが感じれば、相対的にドルが売られ円が買われるかもしれない。だから、単に日本にソブリンリスクが波及したからといって、円安と論じるのは短絡的である。ドルもユーロも円も、同様にソブリンリスクを抱える。

筆者がこの3年間、繰り返し、繰り返し、述べてきた「三極通貨の弱さ比べ」は、今後さらに「白熱したデッドヒート」を繰り広げるだろう。でも、こんなゲームの順位争いは切ないね。そこで一位と言われても片腹痛いだろう。まぁ、この問題が燻ぶり続ける限り、ソブリンリスクの無い無国籍通貨=金への資金流入は続く。

さて、今朝の日経には金価格に関する論説が載っている。社説に金価格が載ったことは、今年に入って、これで2回目。前は、社説で金が論じられることなどなかった。志田(商品担当)編集委員は論説委員に昇進した。金に関する認知が進みつつあることを肌で感じる。

2010年