2010年7月14日
昨晩のマーケットは、ユーロの対ドルレートがポルトガル格下げの報で1.25まで急落するかと思えば、ギリシア国債好調の報で1.27まで急騰。ユーロペシミズム(悲観論)とユーロオプティミズム(楽観論)に割れてきた。
通貨市場を見るに、ユーロを積極的に売りたい人、ユーロ売りから撤退(手仕舞い)している人、ユーロを積極的に買っている人、そしてドルを積極的に売っている人(結果的にユーロを買っている人)が共存している。
指標となるシカゴ通貨先物市場(IMM)の投機筋のユーロ先物ポジションの推移を見てみよう。
年月日 |
ユーロドルレート |
ユーロ買い |
ユーロ売り |
売り越し残高 |
10/05/18 |
1.2566 |
54,411 |
161,554 |
-107,143 |
10/05/25 |
1.2365 |
45,630 |
152,366 |
-106,736 |
10/06/01 |
1.2225 |
45,006 |
138,331 |
-93,325 |
10/06/08 |
1.2097 |
45,938 |
157,883 |
-111,945 |
10/06/15 |
1.2382 |
49,526 |
111,886 |
-62,360 |
10/06/22 |
1.2369 |
41,013 |
111,987 |
-70,974 |
10/06/29 |
1.2549 |
43,357 |
117,027 |
-73,670 |
10/07/06 |
1.2641 |
56,316 |
95,225 |
-38,909 |
|
ユーロ売りポジションが膨れ上がったところで急速に縮み、ユーロ買いポジションが徐々に増加している。ユーロ売りとユーロ買いの差は依然売り越し基調であるが その量は減少してきた。昨晩のユーロの動きも、この流れの延長線上にある。
こういうマーケットの潮流に、いち早く乗っているのがチャイナマネー。いまだにユーロ売りを続けているのがジャパンマネー。
中国の国家外為管理局は、先週、スペインの10年債入札に1000億円近くビッド入れて、結果400億円相当引き受けたとのこと。
一方、日経朝刊一面記事「日本の資金 ユーロ離れ」は、「6月に入ってユーロ不安が一服してからもユーロ資産売却は続いており、構造的な資産配分の見直しにつながる可能性もある。」
虫の目で見れば、IMM投機筋の売りポジションが軽くなったところで、新たなユーロ売りの波が出やすい地合いではある。しかしねぇ~~~、う~ん~~~、どうなんだろうなぁ~~~、生保や年金内部の稟議書に書けば、ユーロ資産圧縮が一番通りやすいのだろうけど、ジャパンマネーの過去の行状を見るに、(直感なんだけど) 魚の目で見れば、安値で慌てて手放す展開になっているような気がする。ジャパンマネーはreverse indicator (反面教師)という欧米勢の期待に答えているような感じ。
筆者も、引き続きユーロに対しては悲観論なのだけれど、それ以上にドルに対しても悲観論なのだよね。一方的なユーロ安相場の継続という展開は考えにくい。ドル安の結果としてのユーロ高に振れてもおかしくない。そもそも円だって買われる地合いなのだから。
スペインのワールドカップ制覇の報で、PIGSも自信を取り戻しているというFT記事で、PIGS can fly と書いてあって思わず噴き出してしまったけど...。
昨晩の金価格を虫の目で見れば、ユーロ安に振れても、ユーロ高に振れても、買われた。