豊島逸夫の手帖

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人民元、円、そして金と、高値更新が続いた日

2010年9月15日

さしたる材料もなく、するすると、あっさり高値を抜いてしまった。

昨日は極東時間寄りつき、欧州時間オープング、そしてNY時間始まって間もなくと、三回 まとまった買いが入り、三段跳びで1266ドルを抜いた。その後も1270ドル前後を維持。ここまでの流れをまとめてみよう。

まず、米国では先のFOMCで 忍び寄るデフレの足音に、出口戦略棚上げ、ゼロ金利継続、追加的量的緩和も辞さずの方針が決定。その後、米国マクロ経済指標は8月中には悪化傾向顕著。しかし、月が変わって9月になるや、一転、改善の兆しを示唆する統計数字が相次いだ。

しかし、「雇用なき成長」「住宅差し押さえ急増」の環境下では、雇用、住宅、そして高水準の民間債務の構造的問題は変わらず。中間選挙を控えて、オバマの景気浮揚策も、政治的に実現は不透明。共和党有利の情勢も不確定要素。かくして構造的問題に対する懸念は払拭されず。

一方、欧州はアイルランドなどで財政不安再燃。ドイツ国債とのスプレッド拡大。バーゼルⅢが、とくにドイツ系金融機関の経営不安を浮き彫りにさせたことも足を引っ張る。

そして中国は、引き締めと雇用創出の間の微妙な政策的綱渡りを強いられる。対米外交的配慮ミエミエの人民元のお世辞ばかりの上昇を演出。

そして、日本の政局。菅選出で円高。

昨日は、人民元、円ともに高値更新となり、ドル安傾向。

マクロ経済要因に根差した相場なので、単なるファンドの買いとは異なる堅調な地合いだ。ただし、金ETFは一昨日までだが減少傾向(これから増えそう)。新興国の実需は歴史的高値圏で買い控え傾向。

対してNY先物買い越し残高は700トンを越す急増。足元の買いは「雨宿りマネー」の匂いがする。

結局、1300ドルがさほど高いハードルとも思えぬ水準にまで上がってきた。

次ぎの推進材料は、アイルランドなどの欧州関連かな。

2010年