2010年8月6日
7月21日づけでココア豆価格急騰の話を書いたが、今度は小麦価格急騰でクッキーも値上げかという、またまた甘党には由々しき話。
シカゴ商品先物市場の小麦価格が7月に42%も上がり、ここ数日も一日で8%もの急騰を演じている。原因は、ロシア、ウクライナ、カザフスタンの熱波。モスクワで40度近くとか。(今日の札幌も35度予想だね)。そしてカナダは多雨で小麦の種まきがままならず、今年の収穫が予測より36%減になりそう。
ちなみに小麦生産国のランキングを見ると
EU | | 1億4200万トン |
中国 | | 1億1500万トン |
インド | | 7000万トン |
米国 | | 6000万トン |
ロシア | | 5300万トン |
カナダ | | 2100万トン |
ウクライナ | | 2000万トン |
カザフスタン | | 1400万トン |
中国、インド、EUは大半が国内消費なのでロシア、ウクライナ、カザフスタンが特に中東地域への主たる輸出国になる。カナダ、米国も輸出国。
昨晩はロシアが小麦輸出の一時停止に動いた。ロシアといえば、旧ソ連が1972年の記録的干ばつのときに、米国内の小麦を大量に買い占めたエピソードが、The Great Grain Robbery=穀物大略奪 として有名。米国政府が全く察知していなかったことも判明した。
今回はさすがに大略奪は無理だが、禁輸措置を発表した。末端のユーザーの感覚としては、今回の小麦急騰が唐突に起こったので、まさに意表を突かれている。
まぁ、冷静に考えれば、過去2年間の豊作で在庫は充分。米国の生産、輸出余力もある。さらに世界景気が減速気味なので需要も過熱状態とは言えない。
しかし、構造的にロシア周辺国などの限界的生産者の輸出に依存せざるを得ない不安定な需給の構図は変わらない。
次に、米国経済の話。デフレの影もちらつき始め、点滴を外すどころか、点滴継続の話が伝わってくる。
減税1年延長案。追加的量的緩和案。そして、極めつけの噂は実質国有化されたファニーメイ、フレディーマックに、国が住宅ローン債権一部放棄を命ずるという憶測。Underwater、つまり所有住宅価格の実勢がローンを下回ってしまった人達が対象。中間選挙で民主党大敗予想が流れる中で、オバマの窮余の一策としてネット上で語られている。あくまで噂。でも、それほど追い詰められていることは分かる。
そんな中で、今晩は米国雇用統計。今回は、いつにもまして注目されている。