豊島逸夫の手帖

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有明の月を待ち出でつるかな

2010年4月6日

本欄で「ドルキャリー巻き戻し、円キャリー復活」と書いたのが昨年12月9日。今、メディアで「円キャリー復活」が囃され始めた。もう、遅いっつうの。(なんか、ブログまで呟きっぽい物言いになってしまった...。)

投機筋は12月からドル買い円売りポジションを徐々に膨らませ、ここにきて加速。そろそろ手仕舞いのタイミングを模索中。なんか格好の口実的材料が出ないかと、キョロキョロ首を長くしている。やっぱり、噂で買ってニュースで売るパターン。

そして原油などコモディティーはお祭り騒ぎになってきたね。なんか、金1200ドルの時みたいな、はしゃぎ方。プラチナも筆者強気ではあったが、市場参加者ほぼ全員が強気で揃い踏み。ディーラーたちが「プラチナ祭りだぁ」とはしゃぎ始めたところで、筆者は引いてしまう。金1200ドルのときに引いてしまったように。

材料が景気期待に尽きるのだが、これから点滴が外されるという時に患者の容体に楽観は禁物。3月はFRBのモーゲージ債券買い取りが終了したが、これから住宅購入税優遇措置という点滴も外される。

その米国住宅市場を見れば、持ち家の不動産価格が住宅ローンの額を下回ってしまうケースで、やむを得ずギブアップして差し押さえを甘受する個人も急増。ついにFRBは銀行側に、その差の部分につき返済支払い猶予を要請。でも、こんな措置は、問題の先送りそのものでしょ。

ツイッタ―では現在のドル高につき「ドルは古女房、ユーロは愛人、豪ドルはきまぐれなガールフレンド。さんざん遊んだ挙げ句、古女房に戻る」とコメントして女性読者からブーイングでした(笑)。

ドルは、「別れた女房だ」という男性コメントも多かったですが。(バツイチの筆者には洒落にならない?)ユーロも一時は正妻の座を狙ったのですが、派手なカネ使いが祟りましたな...。

逆に女性読者に好評だったのが百人一首シリーズ。
今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな
長い夜が明け始めて、しらじらと空に残る月の姿と、裏切られ待ちくたびれた女の心を詠んだ歌ですが、マーケットの環境好転、今度こそホンモノと痺れ切らした投資家達が蠢き始めた今を連想させます。

2010年