豊島逸夫の手帖

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国債の罠(trap)

2010年3月18日

今朝、NY CNBCで生中継していたので見ていた。議員からの突っ込みで興味深かったこと。

「中国や日本は米国債保有を減らす兆しが見える。その穴を埋めるのが、民間金融機関だ。FRBなど中央銀行から超低金利政策によりタダ同然でカネ借りられる。それを米国債購入で運用すれば1%くらいは儲かる。キャリートレードと言えるだろう。国から借りたカネを国に貸して利益を得る仕組みだ。しかし、中央銀行が利上げに踏み切れば、このキャリートレードは成立しなくなる。そうなると、誰が穴を埋めるのか?」

じつは、日本の銀行も同じ様なことやっているわけだ。ゼロ金利同然に設定された預金を日本国債で運用する。ここでゼロ金利から利上げに転換すれば、たちまち巨額の債券損が発生してしまい、銀行経営不安が生じる。だから、新型オペで資金供給を20兆円に倍増させる日銀は、将来的に、仮にデフレから脱却できた時点でも、この超低金利政策からおいそれと転換など出来ない。市中銀行も日銀も国債の罠(trap)にはまって身動きとれないのだ。

話題は変わって、金価格の話。ビジネスウイーク3月15日号に金価格予測記事が出ていた。
◎ゴールドマンサックス 3か月 1235ドル、12か月 1380ドル
◎HSBC 今年のピーク1300ドルかもしれない(may be)
◎ブルームバーグ調査 22名のアナリストのうちで15名が新高値更新を予測。
 予測の中心値は2010年で1300ドル。
◎ジョージソロスは金がバブルと言ったが、金ETF(SPDRゴールドシェア)の保有を
 2009年第4四半期に152%も増やして、244万株も保有していることが
 SECへの情報開示で明らかになっている。
 彼が金買いを加速させてから金価格は22%上昇した。

以上のような内容の記事である。

筆者のコメント。国債の罠から抜け出せない限り、金市場への資金流入は続く。

2010年