豊島逸夫の手帖

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円高で注目されるジャパンマネーの行く先

2010年8月25日

注目の米国中古住宅統計は、事前予測平均が6月537万戸(年換算)から、7月470万戸へ減少であった。それが蓋を開けてみれば、383万戸。事前予測を大きく下回り、悪化を織り込んでいたはずのマーケットにもサプライズと受け止められる結果に。

下落率で見ると、事前予測が↓12%に対し、発表は↓27.2%。15年ぶりの下げ幅である。直ちに、NY株はダウ3ケタの急落。債券市場では米10年債の利回りが2.5%を割り込み債券価格急騰。

昨日本欄で述べた、株売り、債券買いの流れがさらに加速。絵に描いたようなマーケットのデフレ対応モードである。商品の世界では、原油売り、金買いで、これまたデフレ対応モード鮮明に。

その金価格だが、中古住宅統計発表直前までは息切れ酸欠状態で、1210ドル近辺までじりじり下げていた。しかし統計発表と同時に急反騰を開始。アッという間に1230ドル台を回復。

それにしても米国住宅市場は悪循環に陥っている。売り手は、こんな安値では売れないと売り渋るが、買い手は先安感強く、買いを見送る。銀行は融資基準が厳格化され貸し渋りが続く。不動産価格はますます悪化して差し押さえも急増。最近多いのは、確信犯的な債務不履行型。どうせローン返済しなくても、ノンリコースなので銀行預金までは差し押さえられない、という米国独特の事情もある。さらにローン返済せず、ただ居座る。住み続ける。差し押さえ急増で債務不履行処理が間に合わず、発動まで時間がかかるのだ。結局、夜逃げか居座りが増える。その風評被害で、近所の不動産価格も下がってしまう。

さて、円高だが、欧米市場と話していると、彼らの関心はTOYOTA やHONDAの株価への影響より、ジャパンマネーがどこの海外資産を買い漁るかということ。さすがにロックフェラーセンターとかぺブルビーチという話にはならないだろうが、巨大化した個人マネーの海外分散のキッカケにはなりうるね。

国際収支、貿易勘定もさることながら、資本勘定の流れにも注目しよう。円高で円の購買力が飛躍的に伸びているのだから、ここはチャンスでしょう。

さて、日経夕刊の人間発見シリーズも今日で3回目。5回シリーズとなると、さすがに長い。しかし小学生時代の思い出を取材されても、記憶が薄れて、「それは何年何月のことですか」と聞かれてもねぇ...(笑)。

2010年