2010年5月12日
昨日はロンドン時間になって金価格上昇が加速し、NY時間の引け後に1230ドルを突破した。EUがギリシア支援策を発表した後に、金価格は一旦は下げたが、結局史上最高値更新。支援策に対してマーケットが不信任投票を投じた。
EU支援策の財源が問題。結局、加盟国が国債を発行して調達ということになる。それをセッセとECBにお買い上げいただくという構造。これではユーロの価値希薄化は必至。FRBに続いて、あのお堅いことで有名だったECBよ、お前もか、という反応。
PIIGS(アイルランドとイタリ―の両国入れて、IIになった)に緊縮政策を強いるということは欧州経済にデフレバイアスがかかるから、FRBのほうも出口戦略が後手に回りがち。Behind the curve. 利上げますます遠のく。ゼロ金利、for a much more extended period of time(笑)、継続となりそう。
もはや、ドル高、ドル安で金が上がるの下がるのの次元の話ではない。主要通貨全体への不信感が強まる中で、通貨の原点回帰として、無国籍通貨としての金が浮上。根は深い。
仮に下がっても、中国、インドの新興国市場は、安くなるのを今か今かと口開けて待っている。下値は限定的。下げのキッカケとしては昨日も述べたファンドの利益確定売り。それから、IMFによるギリシア支援の財源として金売却増量とか...。中国やインドが引き受ければ別だけど。
質への逃避の代表格である米国債にも増発懸念強く、マネーの流れは金に来やすい環境。金ETF(SPDRゴールドシェア)の残高が今月に入り1159トンから1192トンに急増していることも効いている。
昨晩は他のマーケットに大きな動きがなく、金だけが派手に上げた。象徴的光景だった。