豊島逸夫の手帖

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ゴールドスワップ

2010年7月8日

国が公的保有金を担保にBIS(国際決済銀行)からカネを借りるゴールドスワップという手法(金と他通貨を一定期間スワップする)が多用され、その残高が346トンに達したという話。月別にみると。

2009年 12月 28トン
2010年 1月 164トン
2月 97トン
3月 60トン
4月 32トン

もし、これでカネを借りた国がデフォルトすれば、担保の金塊は市場で売却される可能性が強い。ということで、売り材料とされた。ポルトガルあたりが怪しい、という噂。

そして中国の国家外貨管理局が金は主要な投資手段ではないよ、というレポート。これは以前から彼らが唱えていること。中国人民銀行が直接金を買いつけ外貨準備に計上すれば、たちまち金価格が上がってしまう。そこで買い本尊が特定できないように政府系ファンドが、さらに別のファンドに委託するなどで金購入するシナリオが最も現実的と、「金を通して世界を読む」でも書いた。事実、CIC(中国の政府系ファンド)はSPDRゴールドシェアを買っている。彼らの公的金購入は、「いつまでも米国債ばかり買い続けるわけではないよ」と米国に釘を刺す牽制球なのだ。

というわけで、マーケットの反応は冷静。下がるかと思いきや、1200ドルを回復して戻ってきた。

2010年