豊島逸夫の手帖

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疑心暗鬼

2010年7月26日

欧州銀行のストレステストの結果を聞いて、筆者は心配になってきた。投資家が一番知りたいこと。それはギリシア国債が債務不履行になったら欧州の銀行はどうなる、という点だった。けれども、蓋を開けてみれば、欧州銀行の資産査定(ストレステスト)は、ギリシアがデフォルトになることが「負荷の条件」に入っていなかった。そうならないように配慮しているのだから、そんな前提で考える必要はない、と開き直られると市場はますます疑心暗鬼になるものだ。やっぱり隠さなけらばならないほどヤバイの?

筆者は糖尿病予備軍なので、定期的に負荷検査を受ける。サイダー一杯飲んで、血糖値の上がり方を30分後、1時間後、2時間後、調べる。今度の欧州銀行健全性の負荷検査は、サイダーを1/3くらいしか飲まないで血糖値を調べるようなもの。それで糖尿病心配無しと言われてもねぇ...。健康診断は、きっちり受けてほしいもの。

なお、万が一ギリシアがデフォルトになれば、リスク回避目的で金を含めリスク資産全売り状態になろう。しかし、それが一巡すれば、リスク分散のための長期的金買いがジワジワと入る。これはリーマンショック後の金価格が参考になるケーススタディーとなっている。

そして、気になるドル円相場。シカゴの通貨先物市場では、投機的なポジションが円売りから円買いに急速にシフト。早晩その売り戻しが不可避と見る。↓

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2010年