豊島逸夫の手帖

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スイス中銀が外貨準備で円1兆円買い

2010年10月26日

日本では中国の日本短期国債売買が話題になったが、欧州市場ではスイスの円買いが注目されている。スイス中銀発表の7-9月期外貨準備内訳によると、円が4-6月期87億SFr(スイスフラン)から209億SFrに急増しているのだ。円換算で1兆70億円程。これは9月15日の日銀介入による円売りの約半分に相当する。

スイス側の背景としては、同中銀が対ユーロのスイスフラン高を食い止めるため、スイスフラン売りユーロ買い介入を実施した結果、巨額のユーロ(約1300億SFr相当)が蓄積されたので、ユーロからの分散のニーズが発生したことがあるようだ。

外貨準備の中で円を増やしてゆく傾向が他国にも拡大すると、単なる投機マネーだけではない円高となるので、外為市場には長期的影響を与えそうだ。ただし、スイス銀行出身の筆者の見方としては、スイス中央銀行(SNB)は為替トレーディングも頻繁に行うので、必ずしも長期円保有目的とも断言できない。

次に、米国でTIPS(Treasury Inflation-Protected Securities)が売れている。いわゆる物価連動国債である。財政、金融などマクロ経済政策の余地が乏しくなり、FRBでデフレ回避のため、高めのインフレ率容認策(インフレ喚起政策=リフレ)が語られるような雰囲気になると、マーケットも敏感に反応してインフレヘッジに走るようだ。

そして米国で住宅ローン踏み倒し応援サイト。
www.YouWalkAway.com

walk away とは、借金踏み倒すこと。今、米国の経済メディアで最も頻繁に出る単語がQE2(金融緩和第2弾)とforeclosure(差し押さえ)であろう。

バンカメなどで差し押さえ手続きがいい加減であったことが露見。ロクに精査もせずロボットみたいにサインして承認するロボ・サイナ―の実態などが明るみに出て、銀行も差し押さえ停止を検討せざるを得ず。差し押さえが出来ないと不良債権処理も進まず、銀行株も売られるという悪循環。

そのような状況下で、差し押さえ手続きが1年近くかかることを見越して、住宅ローン債務者は「戦略的デフォルト」つまり確信犯的な債務不履行に走り、その上でマイホームから退去せず居座り続けている。そのお助けサイトなのだ。

さて、2週間ほど間隔が空いて、今週金曜からセミナー3連チャン。週末は長崎、熊本。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/ad/gold/ (現在公開されていません)

九州縦断セミナー・シリーズもいよいよ終盤です。少人数だから、ブログ、ツイッタ―読者と直接話が出来る状況なので、スイーツでも食べながら、なごやかな双方向で行きたいと思います。もちろん温泉と鮨道の修行も楽しみ♪

2010年