豊島逸夫の手帖

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ドル高、金高

2011年2月4日

ついにやられた。風邪で発熱。手洗いなどマメに予防対策は実行していたのだが。胃腸にくるタイプで、一昨晩は胃がねじれるみたいな痛みで七転八倒した。それでも、昨日の午前中は、亀井幸一郎、池水雄一との三者対談収録が東証アローズで予定されていたので、なんとか出席。3時間に及ぶ激論が戦わされ、濃い内容となった。

5年後の金価格は?円高はどこまで続く?個人的に金買うときはどうする?などなど。

行司役は日経商品部村上史佳記者。日経マネームック本に10ページという異例の長編記事で掲載される。終了後は、早退。愛妻手作りのジンジャー餃子と、ねぎたっぷりスープの夕食後、熟睡。起きたら、夜の2時半。ちょうど注目のバーナンキ記者会見(2年ぶりだとか)の実況中であった。

米国経済は改善傾向顕著なるも、雇用が通常の水準に戻るにはseveral years=数年かかる。最近の商品価格急騰は新興国の需要による。(QE2の過剰流動性ではないよと、暗にQE2を弁護。)インフレも賃金上昇には至らず。インフレは依然低水準。(マーケットはインフレ懸念一色だが、バーナンキは冷めている。QE2批判に対する反論とも読めた。)

マーケットでは、バーナンキ演説直前から金価格が急騰。20ドル上昇して1354ドル。結局、今回の下値は1304ドルであったことを追認。筆者が注目したことは米国10年債の利回りが3.55%にまで急上昇した(債券が売り込まれた)こと。バーナンキは景気回復による「良い金利上昇」と解釈するが、金市場は大量発行米国債の消化不良による「悪い金利上昇」と理解する。

さて、魚の目で見ると、1月6日の新年に書いた以下のことが依然ポイントである。
「新興国利上げ引き締めモードで、米国へマネー回帰するか。新興国>先進国が、新興国<先進国の図式に転換するか。欧州財政危機、米国ねじれ議会のよる政策不安定性などを思えば、そう簡単に転換できるかと感じている。新興国バブル破たんではなく、新興国経済成長が高速道路から一般道路に降りてくる程度の話だろう。」

そして前回2月2日には、ユーロについて以下のように言及したばかり。
「足元のマーケットはそれでもユーロ高。インフレ率が2.4%にまで上昇してきたので、いよいよ利上げ近し、との観測に基づく金利差要因のユーロ買いだ。魚の目で見れば財政危機という構造要因と、虫の目で見れば金利差要因との挟間に揺れるユーロである。」

昨晩は、トリシェECB総裁の早期利上げ観測修正と解釈されるような発言でユーロ安に振れた。
結果的には、ドル高、金高の一日。相変わらず、ドルと金の連関が揺れている。

昨日、心に響いた言葉。ブルース池水のランニングについての彼のコメント。
「誰にでもできることを、誰にもできないくらい続けること。」
そこで筆者は、こう述べた。
「TBRC(ブルース主宰のランナーズクラブ)のブルースとかけて澤上さんと解く。そのココロは、毎日、毎月、長期継続するつもりでも、くじけそうになるとき、その言動が励みになる」

ま、筆者の場合は、「妻を愛するという誰にもできることを、誰にもできないくらい続けること」が難しいのでござるよ。

さて、今晩は、毎度お騒がせの米雇用統計だ。

2011年