豊島逸夫の手帖

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GFMS ポールウォーカー氏とのチャリティーセミナー開催

2011年10月11日

GFMS ポールウォーカー氏とのチャリティーセミナー開催

まずは、チャリティーセミナーのご案内。
日経電子版の全面的協力を得て、チャリティーセミナーを開催します。

 ○ 日時・・・2011年10月18日(火) 19時~21時
 ○ 会場・・・大手町 日本経済新聞社 日経カンファレンスホールA

東日本大震災被災者の皆さんのために、自分達としても何か出来ることをやりたいとの思いに、ポールも共感してくれました。亀井幸一郎、池水雄一両氏も勿論参加。ここまで下がった金価格がどうなるかについて、4人で論じます。手造りセミナーゆえ、通訳もジェフ豊島とブルース池水の二人でやりますよ。プロの同時通訳というわけにはゆかないけど。
参加費は、会場費だけ差し引いて、全額寄付(講師は全員手弁当)。金額は自由。個人的には、一人3,000円と言いたいところなれど、懐具合には個人差もあるだろうし、基本的に自由です。もちろん上限なし(笑)。
申し込みは ga@zas.att.ne.jp まで。 (受け付けは終了しております)
平日夜という、サラリーマンや主婦にはキビシイ時間帯ゆえ、100人程度の規模でやります。当選者には受講票を送ります。業界関係者も可。

さて、本題へ。
まず"デクシア"が、"ベアスターンズⅡ"となるか。
ベアスターンズ破綻が、リーマンショックの前座となった。そして今回は、フランス・ベルギーの銀行であるデクシアが破綻。そもそもデクシアは、リーマン後に公的救済された最初の銀行群の一行であった。市場が疑心暗鬼となり、銀行間市場で資金調達が出来ずという点で、状況証拠は酷似する。抱え込んだ不良資産が、片やサブプライムローン、片やギリシャ国債という違いはある。或る意味では、ギリシャ国債は"サブプライム・ソブリン(信用力の低い国債)"とも云えるが、信用力の低い個人の住宅ローンより、問題は根深い面もある。
とはいえ、リーマンショックの学習効果で、デクシアへの対応は早かった。不良債権を切り離して、バッドバンク(悪い銀行)という受け皿機関に入れ込み、ベルギーの国内銀行部門は国有化するという解体である。総資産900億ユーロには、ベルギー、フランス、ルクセンブルグの3国が政府保証を付けた。
これでデクシアは、一件落着とされそうだが、「これが始まり」という印象も強い。ギリシャ発では、金融安定基金適用第一号の国内中小銀行も出ている。
ちなみに、デクシアとは、日本では馴染みの薄い名前だが、自治体向け融資では世界最大手で、日本でも、羽田空港国際ターミナルのプロジェクトファイナンスや日本の地方自治体向け融資も手掛けている。

このデクシア解体と、週末のサルコジ・メルケル会談(こちらは本日の日経電子版 金つぶ で詳述)のニュースを受け、欧州債務危機に目先一服感が生じ、マーケットはリスク・オン・モード。株も商品も急騰。

そして金価格だが、1600ドル台で調整中。
値動きが荒く、不規則でもある。リスク選好度が上がって、昨日は買われたが、リスク回避で買われる日もある。
昨晩は、ユーロ高でドル安が買い材料視されたが、ここまでのユーロ安過程では、ドル高でも買われた。
株上昇で売られることもあれば、昨晩のように株も金も買われる日も多い。
そもそも、欧州債務危機そのものが、売りの材料にも買いの材料にもされる。
日々の値動きを追っても詮無い。
だが、魚の目で見れば潮流は変わらず。
先物市場で売られ過ぎ、現物市場は安値圏で買い。
ショート(空売り)ポジションも増えていたので、昨晩はその買い手仕舞い=ショートカバーラリーである。
また、先週は中国版ゴールデンウイークだったが、1週間の休みの後で、久し振りに上海市場が戻って来た。
中国の"下方支援"のガードが下値圏を支える。
問題は、前回も指摘したが、ショートカバーの後のフォローが続くかということ。
昨晩のNY市場では、ウォールストリートジャーナル紙が"ポールソン 9月は金でも損失"と書かれたことが話題。"金でも"というのは、中国森林やバンカメ株などで巨額の損失を出した後だから。"ポールソンが金売り"という噂でも出そうな雰囲気だが、ポールソンというヘッジファンドは、年金や大学基金の保有者が多いので、解約殺到ということにはなるまい。

それから、"カタールのSWF(政府系ファンド)が、ギリシャ金鉱山に50億ドル投資"というニュースも目を引いた。金ETF人気に押されて、金鉱株セクターの値動きが低迷(アンダーパフォーム)していたので、割安感を感じたようだ。

最後に、10月8日の広島セミナーは、定員60名に出席率105%という大盛況。広島で補助椅子まで出すのは初めて。大阪、香川、福岡など遠方からも。筆者としても独立後初の個人投資家向けセミナー。殆どがブログ読者なので、2時間喋って中締め後、ほぼ全員居残りで、更に1時間ほど雑談しました。皆さんから色々差し入れ頂いて感謝!連休中に、あらかた家族と平らげました(笑)。
テーマは"金下げのシナリオ"。タイトルはドキッとするかもしれないけど、筆者の見解はこれまで書いてきたとおりだから。ただ、最近は、下げに関する質問が圧倒的に多いので。
なお、日経ヴェリタス今週号の「ひとクロスワード」連載第3回目には、新事務所での写真とか、スイス銀行時代のトレーディングルームでの写真も掲載されています。読んでみてくださいな。

2011年