2011年12月2日
先週末、日経ホールで開催された日経電子版有料会員限定セミナーは、面白かった。「2012年あなたの資産活用を指南」というテーマで、司会は、日経電子版マーケット&マネー編集長の鈴木亮さん。彼が前職日経マネー編集長の時代からのお付き合いで、気心知れているので、掛け合い漫才の感があった。
面白かったのは、パネリストとして、保険のプロ 後田亨氏、投資信託のプロ カン・チュンド氏と筆者の話の内容。全く事前打ち合わせなど無く、編集長が一人30分ずつステージで対談するという「笑っていいとも」形式だったのだが、期せずして3人とも、ドルコスト平均法などによるコツコツ堅実型の積立方式を薦め、シンプルで分かりやすい投資商品にこだわったこと。全くセクターの違う専門家が考え方としては、同じことに収斂するという現象。
後田さんは、電子版のコラムで保険は「99%外れる宝くじ」と説く。地味に抑えながらの口調なのだが、保険会社で働き独立した専門家なので、かなり業界にはきついことを言ってのける。「200万円あれば医療保険はいらない」「がん保険で私が試算したら、保険金の支払いに回るお金は3割程度。それで保険会社は相互補助と云う」とストレートに語る。セミナー後の4人の夕食会で、すっかり意気投合して聞いたことだが、保険業のモデルケースは、埼玉県民共済だそうだ。埼玉県民でなくて残念(笑)。
そして「はじめての投資信託」著者 カン・チュンド氏。彼は、一転、熱く語る。
「銀行や証券会社の窓口で、よいものをすすめてくれるという考え方は間違っている。窓口で、まず、"この投信の信託報酬は何%ですか。"と聞いてみなさい。係員の人が、"この客は分かっている。"とばかりに、態度が一変しますよ。」これまたストレートな話であった。
この3人、それぞれ個性があって、是非また対談しましょうと約束して別れた次第。
そして、昨日は、大手証券会社の日本株キャラバンが、ホテル・マンダリンで開催。別名CEOセミナーとも言われ、大手各社のCEO自らが、自社IRするという形式なので、全館全日貸切のホテル内には、秘書課と思しき人たちが、せわしく行き来している。アジアからも含め、延べ2000人近くの機関投資家が参加。そこでゲスト・スピーカーとして金の話をするというのも、今までは見られなかった現象。会場の前のほうは、外人ばかりというのが印象的であった。彼らは、アジアで金の話を聞く機会が多くないとのことであった。
そういえば、先週来日し再会したジム・ロジャーズ氏も、別の大手証券会社の日本株キャラバンに招かれて講演と言っていたっけ。
それにしても、日本株。ガイジン投資家たちも、大脳で割安なのは言われなくても分かっているのだけど、欧州発のテールリスクに凍りついて、末梢神経が動かない、という印象であった。
そして、来週は本欄で募集したコツコツ堅実系 女子会セミナー。既に、定員をかなり上回る応募だそうで抽選に。機関投資家向けより、 やっぱりこっちのほうが楽しそう♪(当たり前か(笑)。)
なお、シニア向けには、昨日発売の「週刊朝日臨時増刊 定年後のお金と暮らし」P.16-18に出てます。
追記:金関連のニュースとしては韓国の中銀が11月に15トン金購入と発表している。公的分野の金購入は粛々と進行している。