2011年11月21日
日経マネー誌の筆者連載コラムが衣替えして「豊島逸夫の世界経済の深層・真理」となり、今日発売の号が新一回目。これまでのように、現場発国際経済全般(金に限らず)の視点は変わらず。
その原稿書いた一か月前から、既に状況は悪化している。
週末に外電を見つつ気になった発言が、中国副首相「世界経済危機は慢性化。中国は国内経済維持へ専心」。"もはや世界経済救済に構ってはいられない。自国だけで精いっぱい。"というニュアンス。これまでにない悲観的トーンが気になる。日経マネーのコラムには「中国は世界経済の救世主たりえないが、自国経済は救済できる」というようなことを書いたが、欧州も頼みの中国から、このような高官発言が出るようでは、さぞ心細かろう。
もうひとつのニュースは、バフェット氏 初来日。今日、福島いわき市訪問。これは、日経マネー誌月刊コラムでも震災直後に書いたことの続編。同市にある世界的高硬度器具製造メーカー「タンガロイ」社にバフェット氏は投資しているのだが、そこの新工場オープニング記念式典。当初、3月下旬に設定され同氏出席も決定していたが、当然震災で延期となり、やっと本日開催にこぎつけ、バフェット氏も、やっと来日の運びをなったわけ。
福島を第二の故郷とする筆者には嬉しい限り。それにとにかく、日本株には頑張ってもらわないと。筆者の常々の主張だが、ポートフォリオで「金」は脇役。主役は株・債券など何かを生みだす投資である。金は10%程度長期保有して、それが役立たないのが、実は最も望ましいこと。
そして、今週のマーケットで欧州債務危機と並行して注目されるのが米国債務問題。
スーパー・コミティーと呼ばれる超党派の委員会が、今後10年間で1.2兆ドルに達する財政赤字削減の具体案の政治的妥協案を探っている段階。その報告が今週水曜日11月23日に上がってくる。選挙年も控え、民主・共和両党とも政治的妥協は許容しがたい情勢。もし、妥協が成立しないと、財政支出一律自動カットという厳しい現実が待ち構える。役所の社会サービス低下により、国民の生活に直ちに不便をもたらすので、痛みを伴う結果になるのだ。
たぶん、ギリギリの妥協が成立して、実質先送りとなろうが、こういう"brinkmanship(瀬戸際政策)"を続けていると、最後の結末が厳しくなるだけ。来年は選挙年だから、大胆な結論は両党ともに出せず、3か月に一回程度はこの問題が蒸し返され、その度に米国債債格下げなどが俎上に上ることになるのだろう。財政赤字削減は、ストレートに国民が痛みを感じる政策ゆえ、選挙には馴染まない。
なお、金については、「金のミステリー、どこかの国が大量に買っている」ということについて、日経電子版「金つぶ」に書いた。
www.nikkei.com/money
金つぶといえば、昨日日曜の日経朝刊「電子版記事 読まれた記事 週間ランキング」で、ポールソン金売却の記事が第二位に入っていた。やはりカリスマファンドの金売りは、話題性があるのだね。
ツイッターでは、ポール尊からポール損へという呟きで、盛り上がっていたけど(笑)。