豊島逸夫の手帖

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株高、ドル高、債券安、商品安

2011年1月6日

3日連続で米経済マクロデータに良い数字が出た。昨晩は、ADP雇用統計(民間の調査会社)が激増。にわかに今晩の本番の雇用統計好転への期待感が強まった。マーケットは、これまでの商品ロング、株ショートの巻き戻しへ動く。景況感好転は「良い金利高」を連想させ、債券は売られ10年債の利回りは上値抵抗線の3.5%寸前まで急騰。連れて、米ドルは買われ、これも商品には売り材料に。

さーて、問題はADP雇用統計の信頼性。プロの間では、すこぶる評判の悪い統計だ。とにかく振れが大きい。昨晩のような激増の数字を見せつけられても、本音では額面通り取るアナリストは少ない。建前ではポジショントークで囃す向きは多いが。ただし、本番の雇用統計も、もともと今月は好転が見込まれていたので、それが追認された意味はあろう。サプライズがあるとすれば、前月同様、下振れした場合だ。

さて、貴金属相場は虫の目で見れば手仕舞いモード。QE2(量的金融緩和第二弾)というドカ雪の後の新雪表層雪崩である。根雪は変わらず。魚の目で見れば、上昇基調が変わるはずもない。(あのままドカ雪がさらに積もったなら、雪崩の規模もハンパではなかったろう)。

今後の注目点は昨日も書いたことだが、新興国利上げ引き締めモードで、米国へマネー回帰するか。新興国>先進国が、新興国<先進国の図式に転換するか。欧州財政危機、米国ねじれ議会のよる政策不安定性などを思えば、そう簡単に転換できるかと感じている。新興国バブル破たんではなく、新興国経済成長が高速道路から一般道路に降りてくる程度の話だろう。

2011年