2011年10月24日
円高はどこまで続くのか
相場にはモメンタム(慣性の法則による勢い)がある。
外為市場に於ける円買いは、まさにモメンタムに乗っている。
問題は、そのモメンタムがどこまで持続するかだ。
筆者の欧米の知り合い市場関係者の多くは、短期円高継続、長期円安論者が多い。意見の差は、円高がいつまで続くかという"時間"の問題だ。
昨日は、来日中のジム・ロジャーズと午後いっぱい「東京ウオッチング」につきあった。今年既に3回、シンガポールの彼の豪邸で日経CNBCの番組対談したのだが、前回訪問時に、10月には訪日するということで、東京での再会を約束していたからだ。
昨日は、テレビ密着取材(ガイアの夜明け)で、銀座のホコ天を1丁目から4丁目まで人ごみの中を歩きつつ、カメラの前で歓談という設定となった。(偶然、セミナーで顔見知りの読者の方々数名と遭遇したが。)
話は当然のように"日本経済と円高"で盛り上がり。
彼の見方は「円は当面強い。しかし、巨額の累積公的債務残高と少子高齢化、更に移民も拒否では長期的に日本関連の株も通貨も総売りだ」と年初から終始変わらない。
外交辞令的に、日本はワンダフルな国と語るが、投資家としての目は冷静だ。
68歳にして4歳の娘さんがいるので、彼女のお気に入りのキティーちゃんグッズには目がない。豪邸内もキティーちゃんだらけ。株もサンリオに入れ込んでいるほどだ。
あの東日本大震災の当日は、「頑張れニッポン」を実践とばかりに、シンガポールの日本料理店に家族と繰り出したという。店の客は、彼の一家だけだったそうだ。
それでも長期日本経済超悲観論者だ。
筆者にも、口癖のように、「ジェフ(筆者のニックネーム)。シンガポールくんだりまで経済の話をしにくる時間があるなら、もっと子作りに励めよ。」と、冗談まじりに語る。
キャスターの独身女性に対しては、「将来の旦那さんは、農家の跡取りがいいぜ。これからコモディティーは穀物などアグリ関連だ。今のうちから農業用トラクター運転免許でも取っておきなさい。」と、ユーモアたっぷりにアドバイスする。
話を円高に戻そう。
ジム・ロジャーズが典型的な例だが、グローバルなマネー・フローの観点からみると、ドルからユーロに分散していたマネーが円に向かっている流れが、やはり最も顕著だ。ギリシャ危機が誘発した円高という印象が強い。円は「安全通貨」と表現されるが、正確には、英語で「safe haven=嵐から避難する港」という意味である。その"safe"という単語だけが和訳されて伝わっている。欧米投資家は、円を安全と思って買っているのではない。「避難通貨」という表現が正しいと思う。筆者流の言い回しでは「雨宿りマネー」であり、「お引越しマネー」ではない。