豊島逸夫の手帖

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雇用統計を控えて

2011年7月8日

御用繁多でブログ更新の間隔が空いたが、マーケットの環境に著変無し。欧州財政不安より米国連邦債務上限法の問題の方が若干優ってきた程度。中国の利上げも想定内。

たぶん読者の皆さんが当惑していることは、マーケットが都合良い解釈で動いていることだろう。ギリシア財政不安も、金がリスク回避で買われたり、リスク資産として売られたり。マーケットの解釈は猫の目のように変わる。足元ではドルよりリスク選好度が価格決定要因となる局面が多い。故にドル高でも金高とか、従来の法則では測れない展開にもなりがちだ。あまりまともに見ないほうが良いから、ブログも日々の動きに関しては放っておいた。金価格のレンジは1480ドルを割り込み1478ドルで下げ止まり、その後、急反発して 1530ドル台までつけた。

ひとつだけ触れておくべきことは、NY先物買い残高が先週、リーマンショック以来の減少幅を記録して516トン(先週火曜時点)まで減り、瞬間風速では、その後さらに減少したと見られること。ということはムック本34ページ「世界のプロは金の何を見ているのか」で、「500トン程度まで減ると地合いが軽くなって新規買いが入りやすくなる傾向がある」と書いたところの転換点に達したわけだ。そこで相場は反転した。さらに、もうひと押しの下げを狙ってショート(空売り)に走っていた投機筋が売り手仕舞いに殺到した次第。

マーケット全体では、株式にマネーが戻り始めた。まだ半信半疑という感じなれど、米国市場では日本の震災の影響が山を越したとされ(日本が相場の立役者扱いとなり)、当面のギリシア、ジャパンの不安定要素が後退したタイミングで、ウズウズしていたマネーが動き始めた感じだ。

そして今夜は雇用統計。ここで当面の流れが確認されるか否定されるか。毎月お騒がせの統計なれど、やはり注目せねばなるまい。大きな動きがあれば、週末でもバックアップ体制のある日経電子版コラムのほうで書くかもしれない。

週末は札幌でセミナー♪
7月10日 14:00-16:00
TKP札幌ビジネスセンター カンファレンス
(中央区北三条 3-1-44 ヒューリック札幌ビル 8階)
主催団体は三菱マテリアル。まだブログで告知してなかったけど、札幌地区の読者で興味あればおいでください。私の興味は積丹の旬のウニですが(笑)。

昨晩は丸善オアゾでムック本出版記念講演サイン会がありました。平日の丸の内で19:00開始、丸善で当該書籍購入者限定という条件ゆえ、どれくらい来てくれるものかしらと思っていたら、ほぼ満席の盛況でした。(本文最後に写真添付)

土地柄、若手の諸君が多く、とくに金融機関勤務者が目立ちましたね。話の内容は、最近のセミナー参加者の年齢層が若くなってきたこと、その背景である日本経済への危機感(筆者流に表現すると、来るべき修羅場を凌ぐために一年分の蓄えは作っておけ、という話)、リーマンからギリシアへの鳥の目での変遷、金価格が魚の目で2回下げの局面があるという予想、そして最後は本格的下げのシナリオなどなど。

札幌でも同じ内容で喋るつもりです。2時間たっぷり。東京でも昨日は喋り足りなかったので別途、手作りセミナーやるつもり。それから名古屋でのチャリティーセミナーが当方の御用繁多で(その理由はいずれ分かりますが)、延び延びになっているので、これもずっと気がかりになっていたこと。実行しますよ。

最後にジンクスというのはあるもので、私の場合、過去4回出版して、その直後は4回とも下げ。ところが、セミナー再開すると、今週は途端に急騰。ジェフのセミナー・インデックスは生きていたようです。出版で下げ、セミナーで上げ。ツイッターでは、今や重要なテクニカル・ファクターになっています(笑)。

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2011年